三重大学医学部附属病院乳腺センター    本文へジャンプ
手術治療


1)乳房温存術

乳房の一部のみ切除する方法です。

腫瘍径が小さい場合(乳癌学会のガイドラインでは3cm以下)で乳房温存を希望される場合に行います。

多くの場合、残存乳房に術後、放射線治療(計25回)が必要となります。


2)胸筋温存乳房切除術

乳房はすべて切除し、大胸筋・小胸筋を温存する方法です。

腫瘍の範囲が広く乳房温存手術が困難な場合や乳房温存手術を希望しない場合の一般的な術式です。


3)胸筋合併乳房切除術

乳房とともに大胸筋・小胸筋もいっしょに切除する方法です。

 以前はこの術式が最も一般的でしたが、現在は腫瘍が筋肉まで達している場合のみおこないます。


■ センチネルリンパ節生検について

 
センチネルリンパ節とは、わきの下にあるリンパ節の中で、がん細胞が最初に到達するリンパ節のことで、ここにがん細胞がなければ、そこから先のリンパ節には転移がないと判断できます。センチネルとは「見張り番」という意味です。
 
以前は、がん細胞が乳管や小葉にとどまらず、外にも広がっている浸潤がんの場合、がん細胞がリンパ液の流れに乗ってわきの下のリンパ節にたどり着き、そこから全身に転移すると考えられていました。
そこで、これを防ぐために手術の際、わきの下のリンパ節をすべて切除する「腋窩リンパ節郭清」が一律に行われていました。
リンパ節郭清を行うと、リンパ浮腫と呼ばれる腕のむくみや運動障害、知覚障害などの後遺症が残ることがあります。しかし、今ではリンパ節への転移状況は乳がんの進み具合の情報源としては必要ですが、リンパ節郭清自体は生存率の向上に結びつかないことが明らかにされました。
つまり、リンパ節に転移がなければリンパ節郭清も不要ということになります。そこで、患者の負担をできるかぎり軽くするために始まったのが、「センチネルリンパ節生検」です。手術中にこのセンチネルリンパ節を摘出し、がん細胞の有無を検査し、なければリンパ節郭清は省略され、もし、発見されれば、通常どおりの郭清を行うことになります。
当科では、腫瘍の大きさ2cm以下で術前画像検査でリンパ節転移の疑いのない場合を対象としています。

 


■ 乳房再建術について

 
     当院で行う乳房再建は、これから乳癌の手術を受けられる方が対象となっており、すでに乳癌の手術を受けられた方への乳房再建は現在のところ当院では行っておりません。     
         

 
   手術を行う時期による分類 
 一次  二次











 乳癌の手術と同時に自家組織またはシリコンインプラントで再建
 乳癌手術の後に自家組織またはシリコンインプラントで再建


乳癌の手術と同時に、組織拡張器を挿入し、数か月後に自家組織またはシリコンインプラントに入れ替え 乳癌手術の後に組織拡張器を挿入し、数か月後に自家組織、 またはシリコンインプラントに入れ替え
 
  利点 
  • 乳癌手術と同時に再建を行うので乳房喪失感がない
  • 手術回数・費用が軽減できる



  欠点 
  • 再建方法について考える時間が少ない
  利点 
  • 乳癌の治療が終わってからの再建になるため乳癌の治療に専念できる
  • 乳癌治療を行った施設とは 別の施設でも再建できる

  欠点 
  • 手術回数・費用が一次再建に比べて若干多くなる


 ○当院で比較的よく行っている方法





1回目の手術で乳癌の切除を行い、同時に組織拡張器(ティッシュエキスパンダー)を挿入します。2回目の手術でシリコンインプラントあるいは自家組織を用いて再建を行います。2回目の手術は常勤の形成外科医のいる施設への紹介となります。


 組織拡張器
(ティッシュエキスパンダー)





 乳癌手術の際に大胸筋の下に組織拡張器(ティッシュエキスパンダー)を留置します。ティッシュエキスパンダーに生理食塩水を注入し、徐々に皮膚や皮下組織を引き延ばし、人工物(シリコンインプラント)や自家組織に入れ替える準備をします。



 日本形成外科学会の関連ページ:http://www.jsprs.or.jp/general/disease/malignancy/