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各疾患の治療

消化管(胃、食道、大腸など)のがん

 成人外科は上部−下部消化管、すなわち食道から直腸・肛門にいたる消化管全領域の悪性腫瘍の治療を担当しています。また小児外科は全領域の悪性固形腫瘍の治療に他科と連携をとりつつ携っています。診療は臓器別チームが、術前集学的治療、手術治療から術後補助療法まで一貫して行っており、個々の患者さんに応じた、きめの細やかなオーダーメイド治療を行っています。特に術後補助療法に関しては、専門外来を設置し在宅化学療法を積極的に推進しています。在宅療法の継続が困難な場合も、津市内の関連施設にすぐ入院していただき、速やかに治療を継続する体制も整えています。平成14年4月には寄付講座として先進医療外科学講座を設置し、最先端の医療技術・機器・機材の導入、新たな外科治療の開発・実践、外科感染症対策・エビデンス作成などにも着手し、三重県で唯一の高度先進外科治療施設として認められ、センターとしての役割を果たしています。以下、各臓器における具体的な治療法とその成績をご紹介します。

  1. 上部消化管:食道癌、胃癌が主たる対象疾患となりますが、間質系腫瘍、いわゆるGISTも外科治療の対象となります。高度進行癌に対しては術前化学放射線療法で腫瘍を制御し、開胸、あるいは開腹アプローチで根治手術を目指します。さらに術後も化学療法を中心とする集学的治療を付加し術後成績の向上を図ります。一方早期癌に対しては、より体への侵襲を少なくするため、最先端の医療技術・機器・機材を導入した腹腔鏡下手術を行っています。さらに根治性を両立させるため、転移をきたしている可能性のあるリンパ節を腹腔鏡下で採取し、転移の有無を術中に診断しています。この術式は当科で開発したもので、腹腔鏡を用いたセンチネルリンパ節同定・胃癌根治術は、全国に先駆け厚生労働省に高度先進医療として認可されました。
  2. 下部消化管:結腸癌、直腸癌が主たる対象疾患となります。当科の下部消化管癌治療で最も高く評価されている分野は直腸癌に対する診療で、英国で開発された直腸癌に対する直腸間膜全切除術をより完成された形で実践し、さらに放射線・化学療法(PMC療法、当科ホームページ下部消化管グループのページを参照)を組み込み、国際的にもリードする高い治癒・生存率を上げています。特筆すべきは他施設で永久人工肛門になる患者さんの70%以上が当科では自然肛門温存が可能であるということで、その結果北海道から九州まで日本各地から患者さんの紹介を受け、当科全患者数の30%以上は三重県外から来られた患者さんです。さらに、結腸癌に対しては腹腔鏡手術専門チームが手術を担当し、早期離床・退院が可能となり、手術症例数もこの数年、急激に増えております。
  3. 小児外科:小児科と連携し三重県唯一のセンターとして、神経芽細胞腫等の悪性腫瘍の治療に携わっています。小児の悪性腫瘍は、同じ腫瘍でも進行度によって治療法が異なることが多く、確実で的確な診断のためにも小児科と連携した外科診療は不可欠といえます。
  4. 癌研究 臨床成績に直接還元できる研究を推し進め、分子生物学的手法を駆使して、患者さん各人に合ったオーダーメイド治療を確立しています。

 定期手術日は(火)、(水)、(金)の週3日ですが、外来は(月)から(金)まで毎日担当しております。詳しくは三重大学病院外科外来(内線5301、5302)までお問い合わせください。