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三重大学の「保健医療の国際化に対応する医学教育」が
平成21年度文部科学省
「大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラム」
に採択されました。
大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラムとは
大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラムは、各大学・短期大学・高等専門学校から申請された、各大学等における学士力の確保や教育力向上のための取組の中から、達成目標を明確にした効果が見込まれる取組を選定し、広く社会に情報提供するとともに、重点的な財政支援を行うことにより、我が国の高等教育の質保証の強化に資することを目的としています。
−(独立行政法人日本学術振興会 大学教育推進プログラムのページより引用)
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■取組名称:
保健医療の国際化に対応する医学教育
- 教育環境の国際化と実践的語学教育を目指して - |
■取組期間:
平成21年度〜23年度 |
■取組の背景と目的:
平成13年に医学教育モデル・コア・カリキュラムが示され、本学においても平成15年度より本格的な診療参加型臨床実習であるクリニカル・クラークシップを導入しているが、「教える側と教えられる側双方の新しい教育理念・方法への理解と適応」に課題がある。指導者・学生の意識改革にもっとも有効な方法は、将来の指導者でもある学生が、海外の教育先進大学の現場でグローバル・スタンダードのクリニカル・クラークシップを体験し、クリニカル・クラークシップの本質を理解することであると考える。また、急速なグローバリゼーションの流れのなかで医学教育に対する社会からの要請は大きく変化し、“国際性豊かな人材”、“国際社会で活躍する人材の育成”が求められている。これらを背景に、本学では「クリニカル・クラークシップに対する学生の意識改革と将来の指導者の育成を図る医学教育」、「国際性豊かな医師を養成するための医学教育」の実践のため、海外の医学部との学部間協定を基盤にした大規模な海外臨床実習を導入した。平成18年度には、本学の取組「海外医学部と連携した臨床医学教育-世界に通用する臨床医学教育と国際社会で活躍する人材の育成を目指して-」が、文部科学省特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)に採択された。採択された3年間の活動により、交流大学の拡大とそれに伴う実習枠および選択肢の拡大、学生の意識変容などの大きな成果が得られたが、一方でいくつかの課題も明らかになった。それらの課題は、(1)専門語学教育および実践的語学教育の不足、(2)体系的国際保健医療教育の欠如、および(3)海外での医療体験への早期ならびに継続的な暴露の必要性などであった。
本取組では、先行して実施した大規模な海外臨床実習を通じて明らかになった国際化医学教育の課題に焦点をあて、新しい医学教育課程を構築することを目指す。その方策として、国際保健医療教育と語学教育の充実を柱とした教育改革に取り組む。本取組みにより、国際感覚を持って地球規模で変化する医療状況に対応できる「国際医療人の養成」を実現したいと考えている。
我が国では地域医療の崩壊が大きな問題となっており、地域圏大学である本学も地域医療の維持、再生に重要な役割を担っている。地域医療教育と国際化教育は、相反する教育活動であると思われがちであるが、医学教育の国際化は、地域医療の充実に逆行するものではなく、地域医療に還元され得るものである。学生は国際化教育を通じて、海外の医療体制や医療システムを経験し、我が国における医療の長所や問題点を異なる視点から理解することができる。また、アフリカなどの途上国医療には地域医療の原点があり、地域医療の発展過程、医療資源が限られた地域での医療の在り方、公衆衛生の役割など、我が国の地域医療に応用できる多くのことを学ぶことができる。
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■取組内容:
本取組では(1)医学英語教育の強化、(2)海外の医療環境への早期かつ継続的暴露による動機付け教育(体験学習)、(3)学内教育環境の国際化に取り組む。1-2年次の語学教育では、医学専門領域の英語コミュニケーション教育を導入し、3-4年次のPBL-チュトリアル教育では英語課題を使用する。4年次の基本的臨床技能教育では、英語による診療録記載、英語によるプレゼンテーションの実習を実施する。さらに、5-6年次の臨床実習では、ベッドサイドでの実践的英語教育を行い、これまでの海外臨床実習をさらに発展させる。これらの語学教育の充実に向けて、外国人教員、TeachingAssistant(TA)の採用を推進する計画であるが、外国人TAは、本学大学院の文部科学省大学院教育改革支援プログラム「国際推薦制度による留学生教育の実質化」プロジェクトで増加が見込まれる外国人研究者の採用により確保する。海外医療環境への早期暴露による動機付け教育は、国際保健医療に関する講義の拡大をはかるとともに入学後早期の海外体験実習を実施する。海外体験実習は、学部間協定大学(一部、予定を含む)であるドミニカ共和国イベロアメリカーナ大学、米国・ウエイン州立大学、米国・ニューメキシコ大学、米国・ワシントン大学、中国・上海交通大学、中国・香港中文大学、中国・蘭州大学、タイ・コンケーン大学、ラオス・健康科学大学、アラブ首長国連邦・シャルジャ大学、スウェーデン・イエーテボリ大学、イタリア・ペルージャ大学、タンザニア・ムヒンビリ大学、ザンビア・ザンビア大学、ガーナ・ガーナ大学、オーストラリア・フリンダー大学で行う。学内教育環境の国際化に向けては、海外の交流大学からの医学部学生の受入れを推進し、年間20-30人程度の受入れを目指す。これにより、海外からの学生に対して本学での学習の場を提供し、本学学生が海外学生とともに学ぶ機会を創出する。
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■選定理由:
当該取組は、本事業の趣旨に照らして審査を行った結果、教育の質の向上への大学等の対応が非常に優れているとともに、取組の実現性も高く、その成果と今後の展開も期待できると高く評価できる
[特に優れた点] |
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国際化する医療現場で活躍できる人材育成にふさわしい、ユニークな教育カリキュラムの提言である。 |
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大学の国際貢献力を高める重要な取組として高く評価できる。 |
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海外での医学教育を積極的に取り入れた先進的な取組である |
[改善を要する点] |
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医学部の経験的な評価結果が必ずしも十分説明されていないと思われるので、それを含め、従来得られた国際化に関する経験を踏まえて、問題点や課題を検証することが望ましい。 |
(大学教育等推進事業委員会からの評価) |
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■取組中の様子■
■お問合せ■
〒514-8507 三重県津市江戸橋2丁目174番地
三重大学医学部医学・看護学教育センター
TEL; 059-231-6003
FAX;059-231-6013
e-mail;hhori@clin.medic.mie-u.ac.jp
■リンク■
*文部科学省HP*
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/09/1284354.htm
* 独立行政法人日本学術振興会webサイト*
http://www.jsps.go.jp/j-pue/index.html
■取組の活動状況■
2009年1月; |
ドミニカ共和国イベロアメリカン大学学生受入れ |
2010年2月; |
ガーナ・ガーナ大学との学部間協定締結
イタリア・ペルージャ大学との学部間協定締結 |
2010年3月; |
タイ、ラオス、米国での早期体験実習を実施 |
2010年2,3月; |
タイ・コンケーン大学から学生受入れ |
2010年3月; |
海外臨床実習研修会の実施 |
2010年4月; |
米国・ウエイン州立大学からの学生受入れ |
2010年4,5月; |
海外13大学での第6学年海外臨床実習の実施 |
■資 料■
保健医療の国際化に対応する医学教育
ー教育環境の国際化と実践的語学教育を目指してー
<<pdf形式>>
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