《 定 義 》 |
ラブドウイルス科に属す狂犬病ウイルスの感染による神経疾患である。 |
《 臨 床 的 特 徴 》 |
狂犬病は狂犬病ウイルスを保有するイヌ、ネコおよびコウモリ、キツネ、スカンク、コヨーテなどの野生動物に咬まれたり、引っ掻かれたりして感染し、発症する。潜伏期は1〜3カ月で、まれに1年以上に及ぶ。臨床的には咬傷周辺の知覚異常、疼痛、不安感、不穏、頭痛、発熱、恐水発作、麻痺と進む。発症すると致命的となる。
感染動物の唾液中にはウイルスが存在していることがある。米国ではアライグマやコウモリにおける狂犬病の増加が問題となっているが、狂犬病ウイルス感染動物との接触が明らかでないヒトの感染事例が時々報告され、コウモリが原因と推測される場合がある。ワクチン接種により防御免疫を確立できる。狂犬病ウイルス暴露後であっても、ワクチン接種により発症予防が可能である。
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《 報告のための基準 》 |
診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断や血清学的診断がなされたもの。
- 病原体の検出
例 唾液からのウイルスの分離脳の部検によって得られた脳組織および脳乳剤を用いた、乳のみマウス、マウス神経芽腫細胞への接種試験によるウイルス分離など
- 病原体の抗原の検出
例 角膜塗沫標本、頚部の皮膚、気管吸引材料および唾液腺の生検材料からの直接蛍光抗体(FA)法などによる検出
- 死後脳の剖検によって得られた脳組織および脳乳剤からの蛍光抗体(FA)法によるウイルス抗原の検出
- 病原体の遺伝子の検出
例 唾液、髄液などからのRT-PCR法 脳の剖検によって得られた脳組織および脳乳剤からのRT-PCR法など
- 病原体に対する抗体の検出
例 Fluorecent Focus Inhibition Test、ELISA法など
(注)血中抗体価は治療のためのガンマグロブリン、ワクチン投与により上昇するため診断価値が少ない。髄液中の高い抗体価は診断の目安となる。
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《届出について》 |
届出の対象
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患者 |
届出の時期
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7日以内 |
届出事項
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氏名・性別・病名・症状・診断方法・初診年月日・診断年月日・推定感染年月日・感染原因・感染経路・感染地域 |
《備 考》 |
なし
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