• 三重大学医学部附属病院 感染対策チーム

    感染症予防法で、医師からの届出対象となる感染症のリストと届け出基準

    4類感染症で全例報告のもの
    ブルセラ症


    《 定 義 》

    本症はウシ、ブタ、ヤギ、イヌおよびヒツジの感染症であるが、原因菌(Brucella abortus、B.suis、 B.melitensis、B.rangiferi、およびB.canis)がヒトに感染して発症する。波状熱、マルタ熱、地中海熱などの 名前でも呼ばれる。

    《 臨 床 的 特 徴 》

    感染源は感染動物の組織、乳汁、血液、尿、胎盤、膣排泄物、流産胎児などである。B.canis に感染した イヌの尿も感染源になるとされる。潜伏期間は1〜18週、通常2〜8週との報告がある。感染によって誘 導される所見として比較的共通のものは脾腫、リンパ節特に頚部および鼠径部リンパ節の腫脹、および関 節の腫脹と痛みがあり、その他に20〜50%の患者に、進行の時期によって泌尿器生殖器症状があらわれ る。B.melitensisの感染では約70%の患者に肝腫大が認められる。本感染による死亡率は一般的には低率で あるが、心内膜炎を併発している場合には致死率は上昇し、ヒトのブルセラ症による死亡の多くはこれが 原因である。ヒトブルセラ症の3〜5%に神経症状や精神神経的な症状との関連性があるとされる。

    《 報告のための基準 》

    診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断や血清学的診断がなされたもの
    1. 病原体の検出
      例 血液、骨髄その他の組織からの菌の培養・同定など
    2. 病原体に対する抗体の検出
      例 試験管凝集反応(1:160倍以上の力価)、補体結合反応、競合酵素抗体法では急性期と寛解期で4倍以上の力価上昇など

    《届出について》

    届出の対象 患者
    届出の時期 7日以内
    届出事項 氏名・性別・病名・症状・診断方法・初診年月日・診断年月日・推定感染年月日・感染原因・感染経路・感染地域

    《備 考》

    国内にはかつてウシにおける発生があったが、近年は殆どない。国内ではヒトの感染はほとんどが実験室感染である。

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