Infection Control News 第26号
  2006.02.28 発行
三重大学医学部附属病院 感染対策チーム(ICT)

1.インフルエンザ検査状況と結果

 三重県も1月24日にインフルエンザの警報が出され、院内のインフルエンザ迅速検査も昨年を上回っています。例年2月はインフルエンザがピークとなる時期です、予防策と感染対策へのご協力とICTへのご連絡をお願いします。

【昨年度の当院におけるインフルエンザ検査状況】

2.シミュレーションを実施

 2月2日(木)・2月6日(月)にSARS等を含む鳥インフルエンザ疑い患者来院時のシミュレーションを、医師,看護師,コメディカルの協力を得て実施しました。三重県は中部国際空港の開港もあり、海外からの帰国者増加の可能性があります。昨年の12月末には【三重県新型インフルエンザ対策行動計画】が出されており、外来患者さまへの陰圧室での対応がスムーズにできるようにとの目的でシミュレーションを実施しました。


3.院内感染対策講演会

 2月16日(木)に第3講義室で全職員対象の院内感染対策講演会を実施しました。講師に大阪大学医学部附属病院 感染制御部 副部長 浅利 誠志先生をお迎えし、「チーム医療で防げるMRSA感染症―最新の感染防止対策―」と題して講演していただきました。


4.薬剤感受性のMICSIR―― 細菌検査室より (内線:5385――

 当院では現在、薬剤感受性結果をCLSI(Clinical and laboratory standards institute:米国臨床検査標準化委員会)の定める方法に基づいてMIC値とSIRを報告しています。
MICとはMinimal Inhibitory Concentrationの略であり、最小発育阻止濃度、すなわち菌が発育しなくなる抗菌薬の最小濃度です。CLSIでは、これを1μg/mlを基準に少ないほうでは0.5,0.25,0.125・・・と測定し、大きい方では2,4,8・・・と測定します。判定は
S(Susceptible)
:有効性が期待できる薬剤、
I(Intermediate)
:有効性について評価が定まっていない、高容量で有効、組織移行がきわめて良好なら有効、など条件つきで使用できる薬剤、
R(Resistant)
:有効性が保証できない。すなわち通常は治療薬として選択できない薬剤です。
同じSであっても、MIC値が低い薬剤ほど低濃度で薬剤の効果が期待できます。ただしこれはあくまでin vitroであって、in vivoでは臓器移行性等も加味して考える必要があると思いますが・・・・

CLSIでは有効性の判定基準を菌別に詳細に設定しています。このため同じMIC値であっても菌種が違えば判定は異なることもあります。また判定基準は、基本的にMIC値により決定されますが、菌種によっては臨床的に有効でないために、MIC値にかかわらず耐性と報告する場合があります。例えば、腸球菌に対するセファロスポリン、サルモネラに対する第1第2世代セフェムやアミノグリコシドなどです。さらに新たな耐性菌の発見や抗菌薬の開発に合うように毎年更新されています。












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三重大学医学部附属病院感染対策チーム
三重県津市江戸橋2-174

E-mail: s-kenko@mo.medic.mie-u.ac.jp

なお、三重大学医学部の公式サーバーは、http://official.medic.mie-u.ac.jpです。