ネットワーク概要

ごあいさつ

理事長 谷川高士

心筋梗塞や狭心症といった動脈硬化性心疾患(虚血性心疾患)は、生活習慣病とともに増加の一途をたどっています。特に、急性心筋梗塞は、入院後の死亡率は低下傾向にあるものの、病院到着前の院外における死亡率は高く、その半数以上が発症1時間以内に死亡しています。迅速に診断して治療すれば救命できるため、見過ごしてはならない病気です。

三重県における心疾患を原因とする死亡者数は、2,890人(平成22年人口動態統計)であり、死因別の割合としてはがんに次いで多く、第2位となっています。また、急性心筋梗塞の死亡率は全国平均より高い水準で推移いており、本症への対応は三重県の医療における一つの大きな課題となっています。

このような三重県の状況を踏まえ、急性心筋梗塞などの心臓発作患者を専門施設で速やかに治療することができる体制整備を目的として、2011年に三重大学病院が中心となって『三重県CCUネットワーク』を発足しました。このネットワークは、CCUを有する専門施設と三重県消防、三重県医師会ならびに三重県が共同で取り組む事業で、救急隊との協力体制、開業医との連携、そして救急輪番病院の受け入れ態勢の充実を図り、発症から治療までの時間を短縮させるための各地域におけるシステムづくりです。2012年4月には、この事業を推進するため三重大学病院内に『CCUネットワーク支援センター』を設置し、全県的に急性心筋梗塞の情報収集を進めています。

今後、三重県内の診療ネットワークをさらに広げ、循環器および腎臓疾患の疫学、管理および予防に関する研究を推進することを目的に、NPO法人『みえ循環器・腎疾患ネットワーク』を設立しました。本法人では、「循環器・腎臓疾患の疫学的調査、臨床研究ならびに研究の助成」、「循環器・腎臓疾患管理方法の学術的研究及び技術的援助」、「循環器・腎臓疾患治療に携わる施設間のネットワークシステムの整備」、「循環器・腎臓疾患の疫学、治療および予防管理に関する研究会の開催」など、計7つの事業展開を予定しており、循環器および腎臓疾患の早期診断や予防の重要性を三重県民に広く啓発することも一つの目的としています。

三重県内の循環器および腎臓疾患に対する医療を今後より一層充実させ、県民の意識向上や病診連携の強化を目指してさまざまな活動を行っていきます。 当法人のご支援をいただきますよう、宜しくお願い申し上げます。

特定非営利活動法人みえ循環器・腎疾患ネットワーク
理事長 谷川 高士