教授挨拶


神経感覚医学 システム神経科学


 私達の講座は神経感覚医学大講座に属し、臨床系の神経科学研究講座と共にヒトの神経機能や疾患の解明に基礎的な視点で取り組み、ニューロンレベルから脳システム系へとボトムアップ的に神経生理学的手法により研究を行なっています。21 世紀は脳の世紀といわれ、ヒトの本性をなし、人体最大の秘境である脳の機能解明の飛躍的な進展が期待されています。このような状況の中、私達の研究室では、神経系の中心的構成要素である神経細胞の興奮性を単離標本やスライス標本を用いて解析するとともに、中枢神経系回路網の動作特性の解析、障害後の可塑的変化を全脳標本により解析しています。解析手法としては、パッチクランプ法、細胞内記録法および種々の免疫染色法を駆使し、中枢神経細胞の形態学的、機能的解析を行なっています。

 これまで運動系を中心とした研究を行なってきました。小脳系、大脳基底核から視床中継核への情報伝達様式と投射様式の解析、視床−大脳皮質投射の解析、大脳皮質運動野、体性感覚野錐体細胞、脳幹諸核の興奮性と形態学的解析などを手掛けてきました。また、神経縫合後の顔面神経核での可塑的変化や、脊髄切断後の機能回復など神経障害後の機能修復に関する研究も行なっています。

 以上のような研究分野に興味を持っている若手の参加を待っています。