近年、糖尿病は増加の一途をたどり、失明や腎不全による透析などQOLの低下や脳梗塞、心筋梗塞による死亡原因となり世界的な問題となっております。糖尿病は、「血糖が上昇する」という単純な現象ですが、血糖の調節には、複数の臓器、組織、インスリンをはじめとしたホルモン、アディポサイトカインに代表されるサイトカインなど多くの因子により厳密に制御されています。そのため、血糖が上昇する要因は多岐にわたり、また治療薬についてもそれぞれの要因を是正する目的で開発されてきております。従って、個々の患者の病態を十分に把握し治療することが重要となります。しかし、治療による血糖制御は不十分で、血管合併症の進展も抑制されていないのが実際の状況であり、これらを改善する新しい治療法が必要と考えられます。当教室では、臨床的及び基礎的なアプローチにより研究をすすめ、新しい治療法を開発することを目標としております。

教授
竹井 謙之
准教授
矢野 裕
学部担当科目
糖尿病・内分泌学
附属病院診療科名
糖尿病内分泌内科
居室
病態医科学研究棟 5階

研究・教育内容

(1)私たちは、活性化プロテインCによる糖尿病性腎症に対する、抑制効果を抗炎症、細胞外基質蓄積抑制、抗アポトーシス作用を介する作用を確認している。これらの点は、高血糖により惹起される凝固促進、炎症、細胞外基質蓄積、アポトーシスの促進に対して抑制的に作用し、腎臓の組織・機能に対して保護的に作用すると考えられる。活性化プロテインCの産生の増強が、糖尿病性腎症の進展を抑制すると考えられる。ストレプトゾトシンによる糖尿病モデルマウスを用い、活性化プロテインCの産生を増加させる方法を考え、糖尿病性腎症の進展抑制効果、及びその機序を検討してきた。活性化プロテインCの作用は、糖尿病性腎症の病態形成にかかわる複数の点を同時に抑制する点で腎症の治療薬として従来にない性質を有しており、治療薬としての開発を行っている。

(2)糖尿病には、近年多くの作用点の異なる治療薬が登場しているが、どの薬剤を選択するか、基準もなく明確ではない。血糖の変動の要因としては、病態の中心であるインスリン分泌とインスリン抵抗性が重要であるが、それぞれの患者で違いがあり、正確に評価することは困難を伴う。
これに対して〈1〉持続血糖モニタリングシステムを用い、血糖変動を正確に把握し、〈2〉人工膵臓でインスリン抵抗性を評価し、〈3〉各種負荷試験によりインスリン分泌を評価し、これらを組み合わせて、病態を解析する。またインスリン療法を必要とする患者の場合も血糖変動とこれらの関係を解析することは重要である。
更に、病態に影響を及ぼすアディポサイトカインと血糖変動との関係も検討する、以上を総合的に評価し、治療薬の選択やインスリン量の調節をを行い、糖尿病治療に応用していく。以上の研究をとおして、実験技術を習得し、病態への理解を深め、学会発表、論文作成を経験していだきます。


  • プロテインC-活性化プロテインCによる糖尿病性腎症進展抑制

  • 持続血糖モニタリングによる治療への応用

研究業績

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