分子生理学教授近影
1. 独自に開発した抗リン酸化ペプチド抗体を活用した細胞機能とその制御機構の研究
2. 細胞骨格機能とその制御機構の研究
3. 一次シリアと細胞増殖の連関についての研究
4. 各種組織の機能ならびに機能不全を個体レベルで解析できるマウスモデルの作製
教授
稲垣 昌樹
学部担当科目
生理学、分子生命体科学
居室
先端医科学教育研究棟 3階

研究・教育内容

中間径フィラメントのリン酸化とその機能解明

 細胞骨格の一つである中間径フィラメントの構成蛋白質を単離精製し、試験管内で中間径フィラメントを再構築することに成功した。そして、多くの中間径フィラメント群において、リン酸化がその構築を制御していることを明らかにした。また、それらのリン酸化部位を100か所近く決定し、構築制御ドメインを同定した。中間径フィラメントの特異的リン酸化部位の変異体を細胞に発現させると細胞質分裂が障害され、4倍体細胞を生じることから、このリン酸化は、細胞質分裂の際にフィラメントが娘細胞に分配されるのに必須であることを見出した(図1)。
 さらに、ビメンチンのリン酸化部位変異マウスを作製したところ、染色体が多倍体を経由して異数体となり、それとともに、老化の表現型である白内障、皮膚創傷治癒遅延、皮下脂肪層減少などを認めた(図2)。
[特記事項;図1内に示した抗リン酸化ペプチド抗体の世界に先駆けた発明はシグナル伝達、細胞周期、エピジェネティクス研究領域の研究の発展に大きく寄与している。]

シリア病の発症メカニズム解明に向けた新機軸

 中心体の一部は細胞の増殖停止に伴い、一次シリアと呼ばれる細胞内小器官に変化し細胞外環境を感知する役割を果たす。一次シリアが形成不全・機能異常に陥るとシリア病と総称される種々の疾患や発生異常(嚢胞腎、糖尿病、肥満、内臓逆位など)を生じる(図3:上)。 我々は、一次シリア制御の中核的分子トリコプレインを発見し、その分子メカニズムとしてトリコプレインによるAurora Aキナーゼ活性化がシリア抑制に必要不可欠であることを明らかにした。さらに生理的には、ユビキチン・プロテアソーム系によるトリコプレインの分解が一次シリア形成の引き金となることを示した(図3:下)。また、一次シリアに細胞増殖を停止させる機能があることを世界に先駆けて提唱している。


  • 図1 中間径フィラメントのリン酸化とその機能の解析

  • 図2 ビメンチンのリン酸化部位変異マウス

  • 図3 シリア病の発症メカニズム解明に向けた新機軸

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研究業績

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