近年の社会的背景の変化に伴い、精神疾患・障害の疾病構造は多様化し、従来の症候論的精神医学・神経科学・分子生物学に基盤をおいた病態解明・創薬研究は限界に直面しています。新たな社会ニーズに対応するには、症候的病因論と物質論的病因論に基盤においた従来の精神医学に加え、社会・個人・細胞レベルの情報伝達機構を、化学・電気情報伝達に還元した新たな精神科学として再構築する必要に迫られています。 我々は、ポストシークエンス・ゲノム創薬時代の牽引を担うべく、1)ニューロンとグリアを介した化学・電気情報伝達機能レベルの病態解明、2)分子レベルの病態解明、3)社会レベルの病態解明、これらを突破口に、精神障害の発症予防と根治的治療法の開発へ展開しています。特に、三重大学脳機能解析センター(BSAM)を基盤とした医師主導型前臨床試験の推進を大きなテーマにしています。

教授
岡田 元宏
准教授
谷井 久志
講師
城山 隆
元村 英史
学部担当科目
精神医学
附属病院診療科名
精神科神経科
居室
先端医科学教育研究棟 2階

研究・教育内容

当講座は、認知症医療学講座や当講座附設の脳循環研究推進プロジェクト研究室と連携して活動を行っています。 当分野の主要研究テーマは、既存治療法では対処困難となっている、中枢神経系機能性疾患への新たな創薬ストラテジーの構築を目指し、以下の3手法で研究を推進している。

中枢神経系機能性疾患の素因解析

古典的シークエンス解析としての、SNPs・CNV解析多施設共同研究に参加し、中枢神経系機能性疾患の疾患感受性遺伝子(第一素因)の解析を実施している。また、ゲノムに規定された素因に加え、発生段階の物理的伝達回路(第二素因)解析を神経心理学的手法で解析をしている。これらの素因研究は、病態解析だけではなく、今後のテーラーメイド医療への展開の基盤構築的にも重要である。

精神生理学的解析研究(知覚探査・記憶・認知機構の解析)

創薬研究への臨床応用を視野に入れた、日常診療機器(脳波)と高度先進医療機器(脳磁図)を用いた精神生理学的な、知覚探査・記憶・認知機構の解析を行い、従来の症候論的治療評価から、現象学的バイオマーカーの抽出を進めている。

ニューロン・グリアネットワークを基盤とした情報伝達系機構解析

ヒト中枢神経系機能性疾患患者と相同する変異遺伝子を導入した遺伝子改変モデル動物(トランスジェニックラット、ノックインマウス、コンディショナルノックダウンマウス)を作出し、ヒト疾患モデル動物としての妥当性を検証している。ヒト疾患モデル動物としての妥当性が確保されたモデル動物を用いた、遺伝子治療法前臨床試験、変異タンパク機能障害を補正する他の情報伝達系機構の機能修飾による、情報伝達系機能補正法スクリーニングを進めている。特に、中枢神経系情報伝達にアストロサイトを中核としたグリア細胞の抑制性・興奮性化学情報伝達機構解析法を開発し、新たなトリプレット伝達機構の解析を推進している。

以上の研究手法を用い、中枢神経系機能性疾患の発症予防と根治的治療法の解析を用いた、医師主導型前臨床試験を行っている。

研究業績

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