今週の画像



 IgA腎症と膜性糸球体腎炎を比較しながら、供覧します。 国試によくでる病理像です。
 図1〜3はIgA腎症の糸球体です。この糸球体疾患では、基本的にはメザンギウム領域の拡大が主体で、進行するとその部位のメサンギウム細胞の増加がおき、血管係蹄の硬化、被膜との癒着が生じます。これらは、糸球体の全般ではなく一部の区画で特に強く起きます。また、すべての糸球体で程度が異なります。三つの糸球体を比べて見て下さい。
 メサンギウム領域の拡大は、IgAの沈着によっておき(図5)、PAS染色では均一に赤く染まる部分(図4の矢印)、電顕では電子密度の高い物質として観察されます(図6の矢印)。図5はIgAの蛍光抗体法で、典型的なメサンギウムパターンです。
 図7は、やや進行した膜性糸球体腎炎のHE像です。血管係蹄壁の肥厚が著明です。早期では、PAS染色ではっきりしませんが(図8)、進行するとPAS染色で肥厚が見られます(図9)。PAM染色(図10)は糸球体基底膜のみを染め、沈着物を染めないので、基底膜のSpike病変やBubble化もしくはFenestrationといった変化(矢印)が見られます。IgGの沈着は顆粒状で、膜様パターンを示すのが特徴的です(図11)。電顕では、足突起側の基底膜に非連続的に沈着が見られるのが普通です(図12の矢印)。
 微小変化群、膜性増殖性糸球体腎炎については、自治医大のホームページを見て下さい。ちなみに、メサンギウム増殖性腎炎は単独の疾患概念ではなく、メサンギウム細胞が増えているといった病理組織学的特徴を持つ疾患群です。

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