今週の画像



 後下壁の心筋梗塞の肉眼像です(図1)。黒色に見えるところが、出血を伴った梗塞巣です。
 発作後三日目の心筋梗塞の組織像を示します(図2、3)。心筋梗塞巣では心筋細胞は凝固壊死に陥り、細胞質の好酸性化(細胞質がエオジンで赤く濃く染まる)、核の濃縮(核がヘマトキシリンで濃く染まる)、核の消失が見られます。強拡大では横紋が消失し、均質になっているのがわかると思います(図3)。また、心筋細胞間には好中球の浸潤が見られます(矢印)。この例では、数年前にも発作があり、その時の壊死は心内膜化に線維化巣として観察できます(図4)。
 梗塞領域を支配する冠動脈では、高度の動脈硬化病変と血栓形成が見られます(図5)。動脈壁では内膜の線維性肥厚、粥状硬化病変、石灰化(青く染色される)を認めます。コレステリン結晶は針状の組織間隙として観察できます(標本作成時にアルコールに溶けるため、図6)。図6の矢印、図7に示した部が本来の動脈中膜組織であり、図5と比べると本来の冠動脈内腔が推測できると思います。ただし、中膜は硬化により萎縮します。

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