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研究

研究の概要

我々は、臨床の疑問点を、基礎的および臨床的研究によって直接的に解決し、さらに、基礎的研究の成果を臨床に応用するトランスレーショナルリサーチを積極的にすすめています。また、個別の病態に対応する研究(オーダーメイド医療)や社会のニーズにマッチする研究を特に重点をおいています。

今後の研究

  1. 加齢による肝疾患の病態制御の分子基盤の解明
  2. C型慢性肝炎の治療における宿主遺伝子SNPの解析
  3. NASH肝における骨髄造血幹細胞の動員
  4. Sorafenibの分子標的機序の検討
  5. 消化器癌のアポトーシス耐性に関する研究
  6. 新規腫瘍マーカーに関する研究
  7. 新規肝癌関連遺伝子のプロファイリング
  8. HCVコア蛋白変異の肝病態に関する意義
  9. 自然免疫(TLR、defensin)と消化器がん
  10. 生活習慣病と大腸細菌叢に関する研究
  11. ピロリ菌と宿主消化管関連ホルモンとの関連に関する研究
  12. 生活習慣病におけるデータベース作成研究
  13. 膵癌の高危険因子に関する研究
  14. 脾臓と肝臓の臓器相関に関する研究

① 加齢による肝疾患の病態制御の分子基盤の解明

加齢に伴い生体では様々な変化が出現しており、生活習慣病をはじめさまざまな疾患を誘発するとされています。免疫異常、動脈硬化、2型糖尿病、癌などに代表される疾患も加齢と密接に関連しており、多数の研究がなされているがその分子生物学的機序の解明は十分になされていません。
慢性肝疾患においては、例えば、C型肝炎は50歳代以降急速に線維化が進展することが知られているし、C型肝炎に対するインターフェロン治療は加齢に伴いその有効率は低下することが判明しています。高齢になれば、肝細胞癌の発現率が上昇し高発癌状態であるとされている。。このような臨床上のエビデンスからも加齢と肝疾患の密接な関連性が示唆されるが、その分子機構はあきらかになっていません。
 我々は、生体肝移植ドナーのサンプルを用いDNAチップにて遺伝子発現を網羅的に解析して年代毎に発現が異なる分子を解析した。(図1)また、これらの分子発現の変化を包括的に解析し、その変化の上流にある分子を同定した。(図2)。そこでこれらの基礎データを基に、さらなる肝臓における加齢の分子機構を解析しました。現在、大学院生が上記研究に昼夜を惜しんで取り組んでいます。

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② C型慢性肝炎の治療における宿主遺伝子SNPの解析

2011年6月よりC型肝炎の自然経過、治療予後に多大な影響を与えるIL28B上流の一塩基多型を先進医療の一環として大学病院で測定できるようになりました。ウイルス側の因子であるコアの変異と合わせることでインターフェロン治療の治療方針の決定の一助となります。大学病院のみでなく、様々な病院から測定依頼の紹介をいただいています。現在、三重大学病院では検査部の協力により高度先進医療の一環としてIL28B上流のSNP解析を行っています。このほかにもウイルスコア遺伝子の変異も解析しています。大学だけでなく多くの病院の先生方からも測定の依頼をいただき、186例の測定を行わせていただきました。症例の解析で判明したことは、IL28BSNPがmajorでIFN治療効果が期待できそうな症例であるにもかかわらず、これまで治療されずにHCCが発生してきている例が多いということです。

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③ NASH肝における骨髄造血幹細胞の動員

肝障害および脂肪肝マウスモデルにおける骨髄細胞の動員や分化に関して、血液内科の先生方と共同研究を行っています。これまでの研究において脂肪肝モデルでは、造血幹細胞が骨髄から肝臓に動員されてクッパー細胞に分化することが判明しました。造血幹細胞が肝病態に影響を及ぼしている可能性が示唆されました。

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④ Sorafenibの分子標的機序の検討

2009年に肝細胞癌に対して保険適応となったmulti-kinase inhibitorのsorafenibですが、肝癌のシグナル伝達の特殊性もあり、腫瘍を完全にコントロールすることはできません。そのためsorafenibと抗がん剤(CDDP、5-FU等)、TRAIL、Fasの併用との効果、TAEで想定される低酸素の併用効果を培養細胞を用いて検討しました。その結果抗がん剤併用では効果は増強せず、TRAIL併用で相乗的に細胞増殖抑制、細胞死誘導作用が認められました。また、低酸素状態では肝癌細胞で増殖を促進させるWntシグナルの活性化が認められ、これがTAE後肝細胞癌が急速に増大する一因となる可能性が示唆されました。

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⑤ 消化器癌のアポトーシス耐性に関する研究

アポトーシス(細胞死)は、多細胞生物の細胞数、発生分化、形態および恒常性の維持において重要であり、この制御機構の破綻は、細胞の癌化等の原因になるとされています。つまり、癌化のプロセスがアポトーシス耐性能獲得過程でもあると考えられるようになってきました。しかしながら、その制御機構については不明な点が多いです。一方、大腸癌、肝癌をはじめとする消化器癌の頻度は近年増加し、現在では悪性腫瘍の上位を占めます。一般に大腸癌は、免疫療法、化学療法および放射線療法によるアポトーシス誘導に耐性を示し、抗腫瘍効果が期待できません。そこで、大腸癌に対する治療戦略上でも、癌化に伴うアポトーシス耐性機序を明らかにすることが大変重要であると考えています。
我々は、ここ数年にわたり、大腸癌、肝癌をはじめとする消化器悪性腫瘍の手術標本、生検標本を精力的に収集し、アポトーシス関連蛋白の発現、アポトーシスと癌化に関し研究を続けています。

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⑥ 新規腫瘍マーカーに関する研究

PIVKAIIは肝細胞癌のマーカーとして利用されていますが、ビタミンK欠乏により肝細胞癌以外でもプロトロンビンより誘導されます。このためワーファリン使用例や、閉塞性黄疸等ビタミンKが欠乏する状態では高値となり、肝細胞癌のマーカーとして使用することができませんでした。しかし、腫瘍産生性のPIVKAIIとビタミンK欠乏により誘導されるPIVKAII(NX-PVKA)はN端のGlu残基の数が異なり、この部分を認識する抗体により両者を分離できることが可能となりました。現在、多数の保存検体を測定して、カットオフ値の設定、AFPとの相関等検討を繰り返しています。プレリミナリーなデータとして、臨床でよく遭遇する従来のPIVKAIIが35程度の軽度状症例で肝癌の早期発見に有用なこと、ワーファリン症例でも肝細胞癌のマーカーとして使用できることがわかりました。

 

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⑦ 新規肝癌関連遺伝子のプロファイリング

これまでの遺伝子発現の網羅的包括的解析により肝細胞癌に増幅する遺伝子としてCTHRC1、Zic2をはじめ多数の遺伝子を同定しました。培養細胞でCTHRC1をノックダウンすることにより、細胞の浸潤能、遊走能が有意に低下し、転移浸潤を制御することがわかりました。これはインテグリンを介した反応のようです。将来の治療ターゲットの可能性も秘めています。

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⑧ HCVコア蛋白変異の肝病態に関する意義

HCVコア蛋白の70番、91番のアミノ酸変異の生物学的意義を肝細胞、脂肪細胞を用いて検討しています。これまでの研究において、HCVコアの変異により脂肪細胞でのIL-6産生に変化が認められC型肝炎の病態に深く関連していることが示唆されました。初代培養細胞も使用して更に研究を進めています。

 

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⑨ 自然免疫(TLR、defensin)と消化器がん

自然免疫においてはToll lile-receptor(TLR)が重要な役割を担っているとされています。我々は、TLRが消化器がん細胞に発現しており、それぞれが機能していることを研究報告してきました。特に、肝臓がん、大腸がんにおいては、TLR3およびTLR9ががん細胞の生存に重要な役割をしています。さらに、自然免疫物質であるDefensinは大腸がんの周囲の単球により産生され、大腸がんの進展を抑制することが明らかにしました。このような自然免疫とがん細胞の関連についてさらなる研究を展開していきます。

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⑩ 生活習慣病と大腸細菌叢に関する研究

近年、腸内細菌叢と生活習慣病やがんとの関連が大変注目されています。そこで、我々は、大腸腺腫や肥満を有する症例約60名の腸内フローラを新たな解析手法T-RFLP法を用いて解析しました。その結果、
①BMI増加や低HDL-C血症、 Lactobacilles等の善玉菌低下は大腸腺腫、腺腫内癌の危険性を高める可能性がある。
②大腸腺腫群における腸内フローラは疾患より肥満度に依存する傾向にあるが、大腸癌に至ると肥満度と独立した腸内フローラの変動を来す可能性がある。
③BMI増加に伴い低下するはずのBacteroidesが増加している場合、大腸がん発生のリスクとなり得る可能性がるとの知見を得た。
以下に結果の図を示します。これまでの結果より、腸内フローラを調べることにより、現在及び将来の大腸疾患発生の予測が出来れば、腸内フローラがこれらの疾患の予防、治療の標的となりうることが示唆されました。

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⑪ ピロリ菌と宿主消化管関連ホルモンとの関連に関する研究

胃に存在するピロリ菌は、慢性胃炎のみならず、特発性血小板減少症などの全身疾患との関連が示唆されています。我々は、ピロリ菌と消化管ホルモンや肥満関連ホルモンとの関係について研究しています。(三重大学大学院病態解析内科学)

⑫ 生活習慣病におけるデータベース作成研究

人間ドッグにおけるデータベース(約10.000人分)を作成済である。現在、それぞれの疾患の関連について解析をしている。現在までの検討では、特に男性では高率に脂肪肝がみられており、BMIと密接に関連していることが明らかとなった。また、脂肪肝と血液検査異常値についての関連を明らかにした。これまでの成果に関する図を添付します。脂肪肝の頻度が、人間ドッグ患者においても高率であることが判明いたしました。

 

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⑬ 膵癌の高危険因子に関する研究

近年、膵癌は増加傾向にあり、早期診断は困難で、進行癌で発見されることも少なくありません。そこで、膵癌の高危険因子の同定および囲い込みが大変重要であります。我々は、膵癌の高危険因子とされている主膵管の拡張や膵膿胞を早期に診断するために、名張市立病院にて一般住民を対象としたMRI/MRCPによる検診を開始いたしました。さらに新たな膵癌の高危険因子を解析する予定です。

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⑭ 脾臓と肝臓の臓器相関に関する研究

肝硬変では、門脈圧亢進が生じて脾臓が腫大することが知られています。また、脾腫により白血球や血小板が低下します。そのため、インターフェロン治療や抗癌剤の治療に支障がでる場合も少なくありません。我々は、かかる例に積極的に脾臓摘出術を施行してきました。その結果、血球の上昇とともに、肝機能の改善がみられることがわかってきました。その機序に関して、免疫、サイトカイン、肝再生因子、骨髄細胞の動員などの面から研究を行っています。

 
 

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