三重大学医学部附属病院 血栓症・止血異常症診療センター

主な業務
組織
止血異常病外来
コンサルテーション
血小板減少症の鑑別診断
DICの診断基準
術前止血検査のフローチャート
より正確な坑血栓療法
リンク

DICの判断基準

A 厚生省DIC診断基準
スコア 0点 1点 2点 3点
I 基礎疾患 なし あり
II 臨床
  症状
出血症状 なし あり
臓器症状 なし あり
III 検査
  成績
血清FDP値(μg/ml) 10> 10≦ <20 20≦ <40 40≦
血小板数(X103/μl) (注1) 120> 120≧ >80 80≧ >50 50≧
血漿フィブリノゲン濃度(mg/dl) 150> 150≧ >100 100≧
プロトロンビン時間比 1.25> 1.25≦ <1.67 1.67≦
IV 判定(注2)
判定 DIC DICの疑い
(注3)
DICの可能性少ない
1.白血病その他 (注1)に該当する疾患 4点以上 3点 2点以下
2.白血病その他(注1)に該当しない疾患 7点以上 6点 5点以下
V.診断のための補助的検査成績、所見
 1. 可溶性フィブリンモノマー陽性
 2. D-Dダイマーの高値
 3. トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)の高値
 4. プラスミン-プラスンインヒビター複合体(PPIC)の高値
 5. 病態の進展に伴う得点の増加傾向、特に数日内での血小板数あるいはフィブリノゲンの急激な減少傾向ないし、FDPの急激な増加傾向の出現
 6. 抗凝固療法による改善
VI.注
 注1: 白血病および類縁疾患、再生不良性貧血、抗腫瘍剤投与後など骨髄巨核球減少が顕著で、高度の血小板減少をみる場合は血小板数および出血症状の項は0点とし、判定はIV-1に従う。
注2: 基礎疾患が肝疾患の場合は以下の通りとする。
a. 肝硬変および肝硬変に近い病態の慢性肝炎(組織上小葉改築傾向を認める慢性肝炎)の場合には、総得点から3点減点した上で、IV-2の判定基準に従う。
b. 劇症肝炎および上記を除く肝疾患の場合は、本診断基準をそのまま適用する。
注3: 「DICの疑い」患者で、「V. 診断のための補助的検査成績、所見」のうち2項目以上満たせばDICと判定する。
VII.除外規定
 1. 本診断基準は新生児、産科領域の診断には適用しない。

 2. 本診断基準は劇症肝炎のDICの診断には適用しない。
(文献) 青木延雄、長谷川淳:DIC診断基準の『診断のための補助的検査成績、所見』の項の改訂について、厚生省特定疾患血液凝固異常症調査研究班、平成4年度業績報告集、1988, pp37-41


B ISTH overt DIC診断基準
表1.overt-DIC診断のためのアルゴリズム
 1. リスク評価 Overt-DICに関連するとされている基礎疾患があるか?
あれば2に進む。なければ、この基準は使用しない
 2. 一般止血検査の施行 血小板数、PT、フィブリノゲン、フィブリン関連産物(可溶性フィブリンモノマー、またはフィブリン分解産物)
 3. 一般止血検査のスコアリング DICスコア 0点 1点 2点 3点
血小板数(X103/μl) >100 <100 <50
フィブリン関連産物 中等度増加 著明増加
PT延長(sec) <3 3< <6 <6
フィブリノゲン(mg/dl) >100 <100
 4. スコアの合計
 5. 5≦スコア合計 Overt―DIC、毎日評価
5>スコア合計 Non-overt DICが疑われる。1-2日以内に再評価
(文献) Taylor Jr FB, Toh CH, Hoots WK, et al: Towards definition, clinical and laboratory criteria, and a scoring system for disseminated intravascular coagulation – On behalf of the Scientific Subcommittee on disseminated intravascular coagulation (DIC) of the International Society on Thrombosis and Haemostasis (ISTH). Thromb Haemost, 2001; 86: 1327-30


C 急性期DIC診断基準
 日本救急医学会DIC特別委員会は「急性期DIC診断基準」の引用に際しては、表1-5すべてを引用するよう勧告している。
表1 基礎疾患
全ての生体侵襲はDICを引き起こすことを念頭におく
 1. 感染症(全ての微生物による)
2. 組織損傷
    外傷
    熱傷
    手術
3. 血管性病変
    大動脈瘤
    巨大血管腫
    血管炎
4. トキシン/免疫学的反応
    蛇毒
    薬物
    輸血反応(溶血性輸血反応、大量輸血)
    移植拒絶反応
5. 悪性腫瘍(骨髄抑制症例を除く)
6. 産科疾患
7. 上記以外にSIRSを引き起こす病態
    急性膵炎
    劇症肝炎(急性肝不全、劇症肝不全)
    ショック/低酸素
    熱中症/悪性症候群
    脂肪塞栓
    横紋筋融解
    他
8. その他

表2 鑑別すべき疾患および病態
診断に際してDICに似た検査所見・症状を呈する以下の疾患および病態を注意深く鑑別する
 1. 血小板減少
イ)希釈・分布異常
  1)大量出血、大量輸血・輸液
  他
ロ)血小板破壊の亢進
  1)ITP
  2)TTP/HUS
  3)薬剤性(ヘパリン、バルプロ酸等)
  4)感染(CMV, EBV, HIV等)
  5)自己免疫による破壊(輸血後、移植後等)
  6)抗リン脂質抗体症候群
  7)HELLP症候群
  8)SLE
  9)体外循環
  他
ハ)骨髄抑制、トロンボポイエチン産生低下による血小板産生低下
  1)ウイルス感染症
  2)薬物など(アルコール、化学療法、放射線療法等)
  3)低栄養(Vit B12、葉酸)
  4)先天性/後天性造血障害
  5)肝疾患
  6)血球貪食症候群(HPS)
  他
ニ)偽性血小板減少
  1)EDTAによるもの
  2)検体中抗凝固剤不足
  他
ホ)その他
  1)血管内人工物
  2)低体温
  他
2. PT延長
  1)抗凝固療法、抗凝固剤混入
  2)Vit K欠乏
  3)肝不全、肝硬変
  4)大量出血、大量輸血
  他
3. FDP上昇
  1)各種血栓症
  2)創傷治癒過程
  3)胸水、腹水、血腫
  4)抗凝固剤混入
  5)線溶療法
  他
4. その他
  1) 異常フィブリノゲン血症
  他

表3 SIRS診断基準
体温 >38℃あるいは<36℃
心拍数 >90/分
呼吸数 >20回/分あるいはPaCO2<32 mmHg
白血球数 >12,000/mm3あるいは<4,000/mm3
あるいは幼若球数>10%

表4 急性期DIC診断基準
スコア SIRS 血小板(/μl) PT比 FDP(μg/ml)
0-2 ≧12万 < 1.2 <10
3 12万> ≧8万 or 24時間以内に30%以上の減少 ≧ 1.2 25> ≧10
8万> or 24時間以内に50%以上の減少 ≧25
DIC 4点以上
注意
 1) 血小板数減少はスコア算定の前後いずれの24時間以内でも可能。
 2) PT比(検体PT秒/正常対照値)ISI=1.0の場合はINRに等しい。各施設においてPT比1.2に相当する秒数の延長または活性値の低下を使用しても良い。
 3) FDPの代替としてD-ダイマーを使用して良い。各施設の測定キットにより以下の換算表を使用する。

表5 D-ダイマー/FDP換算表
測定キットを販売している会社名 FDP 10μg/ml FDP 25μg/ml
D-ダイマー(μg/ml)
シスメックス
日水
バイオビュー
ヤトロン
ロッシュ
5.4
10.4
6.5
6.63
4.1
13.2
27.0
8.82
16.31
10.1