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腎泌尿器疾患のキーポイント療

神経因性膀胱

尿を膀胱に貯めることを蓄尿、膀胱から尿を排泄させることを排尿といい、正常な蓄尿と排尿が行われるためには下部尿路(膀胱と尿道からなります)が正常に働く必要があります。神経因性膀胱とは神経疾患に起因する下部尿路機能障害の総称であり、病態によって頻尿や尿漏れなどの蓄尿機能障害と、尿の排出困難などの排尿機能障害に分類されます。蓄尿時は膀胱からの刺激が主に交感神経を興奮させて、骨盤神経~仙髄~胸腰髄~橋排尿中枢と大脳皮質に伝わり、膀胱排尿筋が弛緩し尿道括約筋が収縮することで蓄尿が可能となります。大脳皮質は主に橋排尿中枢を抑制し、蓄尿に有利になるように働いています。排尿時には大脳皮質からの抑制が解除された橋排尿中枢から膀胱、尿道へと主に副交感神経を興奮させて刺激が伝わり膀胱が収縮、尿道が弛緩することで排尿が可能となります。

神経因性膀胱は、神経障害部位別に4つに分類されます。

  1. 橋(脳幹部)より上位中枢の障害(原因疾患に脳血管障害など);大脳皮質からの抑制が弱くなるため頻尿や尿失禁などの蓄尿機能障害が生じます。
  2. 橋の障害(原因疾患にパーキンソン病、多発性硬化症など);障害される箇所により蓄尿機能、排尿機能障害など様々な障害が生じます。
  3. 仙髄より上位の脊髄障害(原因疾患に脊髄損傷など);膀胱排尿筋と尿道括約筋の協調運動がなくなり、排尿時の高圧排尿や排尿後の残尿、尿路感染症が生じます。適切に管理されないと上部尿路障害、腎機能障害を来たします。
  4. 仙髄、末梢神経障害(原因疾患に糖尿病末梢神経障害、腰部脊柱管狭窄症など);膀胱排尿筋の収縮不全と尿道括約筋の閉鎖不全が生じる結果、大量の残尿や尿失禁(溢れ出すように尿が漏れる)などを来たします。

泌尿器科外来で行う検査には、尿沈渣、腹部エコー、尿流量測定および尿流動態検査などがあり、正確な治療方針を立てるためにはこれらの検査が必要です。より正確な排尿状態を把握するために、初診時から患者さんに排尿日誌の記載を協力していただいています。
薬物療法として蓄尿機能障害には、排尿収縮筋の病的収縮を抑える薬として抗コリン剤、尿道の抵抗を高める薬として交感神経を刺激する薬や抗うつ剤の一種が使用されます。排尿機能障害には排尿筋の収縮を高める薬としてコリン作用薬や抗コリンエステラーゼ剤など、尿道の抵抗を弱める薬として交感神経遮断薬などが用いられます。薬剤による治療では不充分な場合、カテーテルによる導尿を行います。

治療の目標は腎機能の保存、尿路感染症の予防および患者さんの生活の質(quality of life)の向上であり、近年ではこのQOL改善を目指した治療が強調されています。医療者との面談では必ずしも正確な症状改善の程度を把握できないこともあり、様々なQOL問診表を患者さんに記入して頂き、治療の参考としています。

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