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腎泌尿器疾患のキーポイント療

腎移植について

腎移植とは、慢性腎不全の患者様に新しい腎臓を手術で移植することによって腎臓の機能を回復させる治療法です。三重大学医学部腎泌尿器外科でも腎移植の経験を十分につんだ医師が腎移植にあたっており、より質の高い移植医療をご提供できるものと思います。

腎臓の働きと腎不全

腎臓はみぞおちの高さで背中側にある臓器で、左右に1個ずつ存在しています。
働きとしては、

  1. 老廃物を捨てる
  2. 余分な水、塩分を捨てる
  3. 赤血球を増やす
  4. 骨を強くする

などがあります。そのため腎臓が悪くなる腎不全という状態になると、それに伴う様々な症状が出現してきます(図1)。
さらに症状が進むと自分では生命の維持が難しくなります(末期腎不全状態)。

腎臓の働きと腎不全

末期腎不全状態の治療

末期腎不全の治療には大きく分けて、

  1. 透析治療(血液透析,腹膜透析)
  2. 腎移植

があります。
日本ではほとんどの患者さんが血液透析を受けています。これらの治療法にはそれぞれ利点、欠点がありますので、それらをうまく組み合わせて、いかに患者さんの生活の質や健康状態を保っていくかが大切になります(図2)。

末期腎不全状態の治療

透析の欠点

  • 腎不全の根本的な治療ではない(正常な腎臓機能の約1/10)
  • 長期的には様々な合併症が発生する
  • 小児の成長、発育が障害される
  • 女性は妊娠、出産が困難である
  • 飲水、食事制限がある
  • 移植より生命予後が悪い など

腎移植の利点

  • 透析治療から解放される
  • 食事の制限が緩和される
  • 小児の成長、発育が期待できる
  • 女性は妊娠、出産が容易になる
  • 健康な人に近い生活ができる など

腎移植の欠点

  • 手術を受けなければならない
  • 毎日、免疫抑制剤を決まった時間に飲まなければならない
  • 免疫抑制剤による副作用(感染症、糖尿病など)が起こる可能性がある
  • ドナー(腎臓を提供してくれる人)が必要 など

腎移植の種類

腎移植時は身内の方から腎臓をいただく生体腎移植と、亡くなった方から腎臓をいただく献腎移植があります(図3)。

腎移植の種類

腎移植数および成績

腎移植件数は近年非常に増加しており、2007年には1200件以上の腎移植がおこなわれました。ただし我が国では献腎移植は非常に少なく、およそ8割が生体腎移植となっています(図4)。

我が国の腎移植件数の推移

我が国で移植した腎臓の生着率は年々向上しており、1992年から2001年に移植をした患者さんでは1年・5年・10年生着率はそれぞれ94%・82%・68%です。また、2001年以降での5年生着率は91%とさらなる改善をみております(図5)。

我が国の腎移植の定着率

我が国で移植した患者さんの生存率は、5年・10年・15年でそれぞれ91%・85%・79%でした(図6)。

我が国の生体腎移植の生存率

腎移植ができる方

基本的には末期腎不全の患者さんは移植の適応となりますが、以下の方は腎移植を行うのは難しいと考えられます。

  • がんの患者さん
  • 5年以内にがんにかかったことがある方
  • 肝硬変の方
  • 高齢者(当科では70歳までを目安としております)

腎提供ができる方

生体腎移植では腎臓を提供をしてくれる方が必要ですが、以下のような条件があります。(当科の大まかな基準)

  • 6親等以内の血族,もしくは3親等以内の姻族(図参照)
  • 年齢が20歳から75歳程度まで
  • 腎臓の機能が正常で、尿検査に異常がない
  • がんや重い感染症がない など
腎提供ができる方

腎臓を提供しても大丈夫?

手術に伴う危険性として、死亡率は限りなくゼロに近いのでご安心ください。
提供後の腎臓の機能は提供前の70~75%程度になります。提供後の腎機能の悪化は稀で10年後に透析になる可能性は0.5%未満といわれていますが、数%の方に高血圧、蛋白尿などが出現したという報告があります。
また腎提供を行っても、寿命は一般の人と比較しても悪くはならないという報告がされています。

当科での生体腎移植の流れ

腎移植を希望される方は、原則として提供者の方、患者さんともに数日程度の短期入院をしていただき全身の検査を行います。そこで問題がなければ移植となります。
移植術に際して、手術の1~2週間前に入院をしていただき、術前の治療(免疫抑制剤など)を開始します。手術は全身麻酔で6~8時間程度かかります。
通常は手術の直後から尿は出るようになり、翌日から透析を中止することができます。
手術後の経過がよければ、手術後3~4週間で退院となります。退院後しばらく(3~4ヶ月)は週に1~2回通院していただきますが、4ヶ月を過ぎるあたりから月1回程度の通院となります。通院は腎臓が機能している限り必要です。
腎臓を提供される方は、手術の数日前に入院をしていただきます。手術は約3~4時間です。術後、順調にいけば手術後5~7日程度で退院となります。

腎移植手術について

腎を移植する手術は、元々ある自分の腎臓はそのまま残し、提供された腎臓を骨盤(下腹部)の左右どちらかに入れ、腎動脈と骨盤の動脈、腎静脈と骨盤の静脈をつなぎ、尿管は膀胱につなぐ手術です(図8)。

腎移植手術

提供する腎臓を取り出す手術は,最近めざましい進歩を遂げており、以前と比べ提供者の手術に関する負担は少なくなったといえます。
当科では、

  • 傷が比較的小さい
  • 術後の痛みが少ない
  • 早期退院が可能
  • 手術時間が短い(3時間程度)
  • いい状態で腎臓が摘出できる

などの理由から内視鏡下小切開(ミニマム創)手術による腎摘出を行っています。(図9)

腎提供後の傷

※ 詳細につきましては内視鏡下小切開(ミニマム創)手術のページを参照ください。

腎移植と血液型

以前は血液型が違うと腎移植は不可能でしたが、治療方法の進歩により移植が可能となりました。現在では成績も通常の移植と比べても遜色がない程度までよくなりました。
現在我が国で行われる生体腎移植の約2割が血液型不適合腎移植になっています。当科でも血液型不適合移植も積極的に行っております。

透析を行う前の腎移植

腎移植の成績がよくなることで、透析を行う前に腎移植を行う方が増えてきました。さらに近年透析期間が短いほど腎移植の成績がよいことがわかってきており、透析導入前の移植がさらに増えることが予想されます。当科でも約2割の方が透析導入前に移植を行っています。
具体的には、クレアチニン値が5を超えた頃から準備を始めて移植を行うことになります。

当院における腎移植の成績

当院では年間10例程度の生体腎移植を行っており、1年生着率96.7%、5年生着率96.7%です。

三重大学腎移植件数 三重大学での腎移植 三重大学での移植腎生着率
問い合わせ先

腎泌尿器外科外来
電話番号 059-232-1111 内線5405
移植担当 西川まで
Mail : kouheini@clin.medic.mie-u.ac.jp

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