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腎泌尿器疾患のキーポイント療

腎がん

腎臓の悪性新生物では、腎がんが成人の腎実質に発生する悪性腫瘍の85%~90%と大半を占めます。本邦における2002年の統計では、新たに診断された腎がんは、7,405人(男性5,063人、女性2,342人)であり、人口10万人あたりの頻度は、男性で8.2人、女性で3.6人と報告されていて、年々増加傾向にあります。
腎がんの発生の危険因子とされている喫煙、肥満、高血圧といった因子が複合的に作用して発がんのリスクを高めると考えられています。また、長期に透析をうけている患者さんや遺伝性のvon Hippel–Lindau病の患者さんにも高率に発生します。
腎がんの症状としては、古典的な三徴とされる肉眼的な血尿、腹部の腫瘤、腰背部痛が知られていましたが、近年の画像診断の進歩と検診の普及により、CTや超音波検査で偶然みつかる小さな腎がんが増加してきています。もっとも、小さな腎腫瘍では、オンコサイトーマや脂肪成分の少ない腎血管脂肪腫などという良性腫瘍との鑑別が難しい場合がしばしばあります。現時点では、腎がんの診断に関する有用な腫瘍マーカーもないからです。
腎臓に限局した腎がんの治療の原則は、根治的に腎を摘出することで、当科では低侵襲手術である腹腔鏡下腎摘出術腹腔鏡下小切開腎摘出術も行っています。さらに最近では、腎機能の温存が重視されており、また良性腫瘍との鑑別が困難な小さな腎腫瘍の増加もあり、小さな腎腫瘍では、腫瘍の部分だけを切除し、腎機能を温存する腎部分切除術も行っています。また、切らないのでさらに低侵襲治療とされる治療法であり、局所麻酔下で画像を見ながら電極針を腫瘍に刺して行うアブレーション治療を選択される場合も増加してきています。アブレーション治療には、凍結させてしまう凍結療法(クライオアブレーション)と、凝固壊死させてしまうラジオ波凝固療法の二つの方法があり、凍結療法は現在、保険適応の治療となっています。三重大学ではこのアブレーション治療を放射線科の先生と共同で行っており、本邦有数の治療件数を誇っています。
下記のCT画像のような大血管内にも進展しているような進行性腎がんでも、複数の転移が無い場合には手術で摘出しています。また、手術ができない進行性腎がんや再発がんに対しては、従来のインターフェロンやインターロイキンによる免疫療法に加え、最近ではスニチニブ(スーテント)、ソラフェニブ(ネクサバール)、アキシチニブ(インライタ)、テムシロリムス(トーリセル)、エベロリムス(アフィニトール)およびパソパニブ(ヴオトリエント)という6種類の分子標的薬が保険適応となり、それぞれを交代しながら使用することにより、良好な成績をあげられるようになってきています。
早期の病期ほど数字が少ない分類での治療成績を示すと、一般的に5年生存率は、ステージIは80-95%、ステージⅡは70-80%、ステージⅢは60-70%、ステージⅣは0-35%と報告されており、当科の成績もほぼ同様な成績です。

CT画像
下大静脈にも腫瘍塞栓が進展した腎がんのCT画像です。
このような腎がんに対しても、手術を行うことがあります。

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