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男性不妊症治療に関する御案内

男性不妊症とは…

正常な生殖機能(「妊孕(にんよう)性」といいます)を有するカップルが、避妊せずに夫婦生活を行うと、1~2年で85~90%のカップルが妊娠すると言われています。1~2年以上経過して妊娠しない状態を「不妊症」と呼びます。世界保健機構WHOの不妊症原因調査では、約半数に男性側の要因があると報告されており、これを「男性不妊症」といいます。また1/4のカップルには、夫婦ともに不妊の原因があると報告されており、夫婦で一緒に治療を行う必要があります。

無精子症、乏精子症、精子無力症とは…

男性不妊の原因で、全く精液中に精子を認めないものを「無精子症」、数が少ないものを「乏精子症」、精子の動きに問題があるものを「無力精子症」といいます。無精子症の場合、射精が正常に可能であっても、通常の性交渉で妊娠は得られません。

男性不妊症の原因は…

男性不妊症の原因は、大きく分けて以下の4つに分類されます。このうち最も多いものは、原因不明の造精機能障害(精巣で精子を作る機能が低下しているもの)です。原因が判らないものに関しては、根本的治療が難しいのが現状です。

(1)精巣で精子を造る機能の低下

精巣そのものの異常、或いは精巣機能をコントロールするホルモンの異常による男性不妊症です。このうち、原因不明の非閉塞性無精子症/乏精子症が約半数を占めます。その他、精索静脈瘤による乏精子症(約30%)、停留精巣による無精子症/乏精子症、ホルモン異常、染色体異常、抗癌剤治療後などがあります。

(2)精子の通り道の通過障害

精巣では精子が造られているのに、通り道(精管や精巣上体)に閉塞などの障害があり、精液中に精子が出現しないことによる男性不妊症です。閉塞性無精子症、クラミジア感染などによる精巣上体炎、先天性の精管欠損、精管切断術(パイプカット)術後、幼少期の(両側)鼠径ヘルニア術後などが原因です。

(3)性交ができない、射精しない

主な原因は、勃起の障害ED、射精の障害(無射精・逆行性射精)です。脊髄損傷、骨盤内手術後、多発性硬化症などの神経疾患、糖尿病などで射精が出来ないために妊娠しない場合も含まれます。

(4)その他

男性不妊の検査方法は…

初診時に、問診と診察(性器の視診、触診)を行います。それに基づき、採血、検尿、精液検査、超音波検査などを行います。採血結果は、その日のうちに結果が出ない項目もあります(後日、結果報告となります)。

精液検査について…

無精子症、乏精子症などが疑われる場合に行います。4~7日間の禁欲期間(射精しない期間)が必要です。精液検査は、精液を採取してから1時間前後で行う必要がありますが、当院には、採精の為の個室がありませんので、採取から持参されるまでに時間が掛る方は、事前に担当医に御相談下さい。検査結果(精子数、運動率など)は、変動しますので日を改めて複数回、検査を行う場合もあります。

非閉塞性無精子症の治療法は…

精路(精子の通り道)に問題が無いにもかかわらず、精液中に精子が存在しない非閉塞性無精子症の場合でも、精巣内に僅かに顕微授精に利用可能な精子が存在する場合があります。精巣から、この精子を回収する手術をTESE(TEsticular Sperm Extraction)と言います。当科では、顕微受精が可能な近隣産婦人科と協力して、顕微鏡下にこのTESEを行っています。
頻度としては稀ですが、下垂体、視床下部のホルモン分泌障害による無精子症では、薬(ホルモン補充療法など)により精子形成が見られることがあります。この場合は、挙児の希望の有無に関わらず生涯にわたって治療が必要になることがあります。

精索静脈瘤の治療法は…

精索とは精巣に出入りする血管(動脈と静脈)と、精管(精子の通り道)を併せた呼び名です。解剖学的な理由から、左側の精巣静脈には血液が逆流しやすく、逆流により精巣静脈が拡張した状態を「精索静脈瘤」といいます。
精索静脈瘤は、男性不妊症の原因の一つと考えられています。一般に、精液所見が悪い方(乏精子症、精子無力症)や静脈瘤による痛みや不快感などの自覚症状ある方には手術適応があり、手術により精液所見の改善がみられることがあります。当院では、IVR科による血管塞栓術を行っています。

閉塞性無精子症の治療法は…

最近5年間、当科での精路再建術(精管精管吻合術、精巣上体精管吻合術)の実績はありません。手術をしても、精液中に精子が出現しない場合も考えられますので、精巣上体からの精子採取(MESA)を行います。

勃起不全EDの治療法は…

不妊治療のタイミング法(女性の生理周期に合わせた性交)でEDになる場合があります。ED治療薬(PDE5阻害剤)を使用します。現在、日本ではバイアグラ、レビトラ、シアリスの3剤が処方可能です。処方を希望される場合の診察は、自費診療となります。PDE5阻害剤による精子への影響はありません。

逆行性射精の治療法は…

逆行性射精とは、精液が尿道口から射出されず、膀胱内に流れ込む状態です。糖尿病や腹部、直腸の手術後に見られることがあります。射精後の検尿で確定診断されます。精子採取のために、TESEや膀胱内精子回収を行います。

TESEとはどのような治療ですか…

精液中に精子が存在しない場合で精管再建の適応でない場合に、顕微授精目的に精巣から精子を採取することです。当科では体への負担が少ない顕微鏡下での手術を行っています。入院期間は2泊3日(手術前日の入院、手術翌日の退院)です。

精子保存

当科では、精液、精子の保存は行っていません。

当科では、近隣産婦人科医院と協力のうえ、患者さんご夫婦の状態にあわせた治療を行っていきたいと考えています。

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