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腎泌尿器疾患のキーポイント療

膀胱がん

膀胱の粘膜上皮に発生するがんで、その多くは腎盂尿管がんと同じく尿路上皮がん(移行上皮がん)です。10万人あたり約17人程度に発生するといわれており、男性:女性=2.5:1と男性に多く発症します。また、50歳以上で発症することが多い疾患です。原因としては腎盂尿管がんと同じく、喫煙、特殊な染料やある種の抗がん剤(シクロフォスファミド)の使用が挙げられます。
痛みのない肉眼的血尿が最も多い症状です。また、頻尿や排尿時痛といった膀胱炎様症状を呈することもあります。このような場合、最初は膀胱炎として治療をうけますが、治療を続けても症状の改善がみられない場合は膀胱がんの存在が疑われます。
膀胱がんの特徴として、治療後2年以内に膀胱内再発が約50%の症例で認められます。

診断

膀胱の中を直接観察するために膀胱尿道ファイバーを行います。膀胱の中に腫瘍が認められれば、確定診断を行うために直接腫瘍の組織を採取します。補助診断として、尿細胞診、膀胱エコー検査を行います。確定診断がなされると、転移の有無を確認するためにCTを、浸潤度(腫瘍の深さ)を確認するためにMRIを行います。

治療

進行の程度で治療法が選択されます。膀胱は内側から、粘膜、筋層、脂肪層で構成されており、①粘膜までの腫瘍を非筋層浸潤膀胱がん、②筋層以上に浸潤した膀胱がんを筋層浸潤膀胱がん、③粘膜の中を広がっていく膀胱上皮内がんに分類されます(図2)。

図2
  1. 非筋層浸潤膀胱がん(Ta~T1)の治療
    経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)が標準治療です。膀胱内にカメラを挿入して、電気メスで腫瘍を切除します。粘膜だけを切除するのではなく、筋層まで切除して腫瘍が深層まで浸潤していないか病理学的に確認します。ここで腫瘍が深くまで浸潤していた場合は膀胱全摘除術が必要になります。また、病理学的に異型度(がん細胞の顔つき)がGrade3と診断された場合には、Second TURといって再度TURBTを行います。
  2. 筋層浸潤がん(T2~T3)の治療
    筋層まで腫瘍が浸潤しているとTURBTだけでは完全にがんを取り除くことは困難です。そこで膀胱そのものを摘出します。
    男性の場合は膀胱、前立腺、尿道を摘出し、女性の場合は膀胱、子宮、膣前壁、尿道を摘出します。摘出後に尿路変向を行います。尿管を直接皮膚にだす尿管皮膚瘻、回腸(小腸)を利用した回腸導管といった方法を用います。これらは腹壁から直接尿が流出するため、パウチが必要となります。また尿道が温存できる場合は、回腸を利用して代用膀胱を作成する回腸新膀胱を選択します。この場合は尿道から排尿できるためパウチは必要ありません。
    膀胱を温存したい場合には、BOAI(膀胱に流入する動脈に抗がん剤を注入して腫瘍を縮小させる方法)を行ったあとにTURBTを行うこともあります。また、根治的ではありませんが、抗がん剤と放射線療法を併用して治療することもあります。
  3. 膀胱上皮内がん(Tis)の場合
    上皮内がんは膀胱粘膜全体に広がっていることがあるため、TURBTで完全に切除することができません。そこで、膀胱内に直接薬剤を注入する方法が選択されます。使用する薬剤としてはBCG(結核菌を弱毒化したもの)を用います。尿道からカテーテルを挿入して薬剤を注入し、これを週1回行い、6回から8回継続します(6週間から8週間)。副作用としては肉眼的血尿、排尿時痛、発熱などがあります。稀ですが、関節炎や結核症になることがあります。
    診断時に転移を認めた場合には全身化学療法を行います。腎盂尿管がんと同様にジェムザールとシスプラチンを用いた治療を選択します。
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