がんばれととちゃん
2015年6月9日 成田正明
14歳の愛犬“とと”のその後だ。
足腰の衰えは進むばかりだ。
全く立とうとせず、飲食ゼロ、寝たきりだ。
悪いことにひどい眼振が出てきた。
脳に不可逆性の異変が起きたとしか考えようがない。もう長くないと思われる。
いよいよお別れを言いに急きょつくばに戻ろうと思ったが結局戻れず、携帯メールの着信音にびくつきながら、もんもんと過ごした。
そしてこないだの週末つくばにもどった。
ととは家で大事に介護されている。おそるおそる対面だ。
「どお?」普段犬にあまりしゃべりかけない私でも声が出る。
全く動かないととだがしばらくして顔をあげた。
左目が半分しか開いてない。まったくやつれた感じだ。
でもかすかに尻尾を振る。でも動かない。想像以上に悪い。
「ちょっと外いってみますか」という感じで外に連れ出す。
「散歩は三歩まで」と申し送りをされており、そっと連れ出した。我が家ではどんな場合でも笑いを欠かしてはならない。
でも三歩どころかよろよろながらもしっかり大地を踏みしめている。
なんかうれしそうだ。
だんだん調子づいてきて草むらのにおいをかぎだす。
綱も引っ張る。なんかいつもの調子だ。
草むらのにおいをかいでる姿は半身不自由な傾いた姿ではあるが、徐々に目つきも変わってきた。
すごい生への執着だ。今日にも明日にも、という状態なのにこのにおい嗅ぎの本能はどうだ。
草も食べだした。「それ食べちゃダメだよお」といっても聞かない。
だいぶ時間がたったのでぶらぶら家に戻ろうとした。
でも「帰らない!」という。“帰らないアピール”のあの目だ。「じゃもうちょっと行く?」というとしっかりした足取りで従う。
とはいってもあまり無理できないので家に帰った。
「散歩楽しかったね」というとなにか探してる。
「みずみず」と言ってがぶがぶ飲んだ。そのあとも「食べ物食べ物」といっておやつパクパク食べた。
で、「寝る」といった感じで横になった。
なんか元気なときよりよっぽど会話した感じがした。