急性膵炎とは

膵臓は、食物を消化し、吸収しやすくする膵液を分泌する臓器です。
急性膵炎は、アルコールなどの分泌刺激により膵内で過剰に膵酵素が活性化され、膵臓の自己消化が起こる病気です。急性膵炎の成因では、男性はアルコール、女性は胆石が多く、症状としては、腹痛、発熱が多く見受けられます。
急性膵炎は、軽症と重症に分類されます。重症急性膵炎では、発症してまもなく、ショック、呼吸不全、腎不全などを併発することがあります。かつてはその死亡率は20〜30%と高く、特定疾患(難病)に指定されていました。しかし、集中治療の進歩により、近年、その死亡率は約10%と改善し、2015年1月に特定疾患の新規申請の対象でなくなりました。

急性膵炎の治療

急性膵炎の治療としては、主に絶食と輸液を行います。呼吸不全に対して人工呼吸器治療を行うことや、腎不全に対して透析治療を行うこともあります。
急性膵炎では、発症2〜3週後に膵そのものや、膵周囲の壊死した組織に感染を起こすことがあります。これを感染性膵壊死といいます。かつてその死亡率は30〜40%と高率で、近年でも10〜20%と依然、高率であり重要な問題です。
感染性膵壊死の治療としては、内視鏡を使用して壊死物質を消化管内に誘導する内視鏡ドレナージや、皮膚からチューブを挿入して壊死物質を体外に誘導する経皮的ドレナージがあります。十分な効果が得られない場合は、壊死物質を掻き出すネクロセクトミーという処置を追加することもあります。これらの治療を総称してインターベンション治療といいます。

急性膵炎の治療成績

三重大学医学部附属病院では、2006〜2020年に217例の急性膵炎の患者さんの治療を行いました。軽症128例、重症89例で、近隣の医療機関より治療が困難な患者さんをご紹介いただくため、一般の病院と比較して重症の比率が高いという施設の特徴があります。重症急性膵炎の患者さんの死亡率は14.6%(13例)で、特にインターベンション治療を必要とした感染性膵壊死の患者さん31例の死亡率は22.6%(7例)でした。
当院では、発症まもない重症急性膵炎患者さんは、肝胆膵・移植外科、消化器内科、救急科が協力して集中治療を行います。感染性膵壊死に対しては、消化器内科が内視鏡治療を、肝胆膵・移植外科、放射線科が経皮的治療を行っています。

急性膵炎の治療 / 2006〜2020

急性膵炎の内訳
軽症128例 (59.0%)
重症89例 (41.0%)
重症89例の転帰
生存76例 (85.4%)
死亡13例 (14.6%)

感染性膵壊死の治療

感染性膵壊死に対して経皮的ドレナージをおこなった症例

2007〜2020年に三重大学医学部附属病院でインターベンション治療を行った感染性膵壊死 31例の治療成績