慢性膵炎とは

慢性膵炎とは、長期間にわたり膵臓の炎症が続くことで、慢性的な腹痛が起こり、かつ膵臓のはたらきが徐々に衰えていく病気です。慢性膵炎になると次第に膵臓は固く縮こまってしまい、膵管という膵臓で作られる消化液の通り道が拡張します。また、その中に結石ができ、膵管をつまらせてしまう場合があります。原因として最も多いのは長期間にわたる大量の飲酒です。アルコール以外にも胆石、ストレス、遺伝なども原因として挙げられます。膵臓はたらきは大きく2つあり、1つは消化液である膵液を分泌し、食物の消化、吸収を助けること、もう1つはインスリンいう血糖を下げるホルモンを分泌し、血糖値をコントロールすることです。そのためそれらの機能が障害されることで、栄養不良になったり、糖尿病になったりします。

慢性膵炎の治療

慢性膵炎による腹痛に対し、様々な治療が行われます。通常、症状の進行に合わせ、段階的に治療が行われます。初期には鎮痛薬の内服による治療が行われ、効果が不十分なものに対しては内視鏡(胃カメラ)を用いて膵管の中の結石を除去する治療や、体外衝撃波により結石を砕く治療が試みられます。それでも症状がおさまらない場合は最終的に手術が行われます。手術治療は体への負担はある程度あるものの、痛みを取り除く効果は最も優れており、かつ継続します。そのため、最近では内視鏡的治療の効果が不十分な場合はなるべく早く手術を行った方が良いともいわれています。

慢性膵炎の手術と成績

慢性膵炎に対する手術としてはFrey手術という手術が推奨されています。Frey手術では炎症の強い膵頭部の膵実質を一部切り取り、さらに拡張した膵管を切り開きます。内部の結石を全て取り除いたのち、開放した膵管と膵頭部に切り開いた腸管をあてがい縫い付けます。これにより消化液である膵液がスムーズに腸管へ分泌されるようになり、痛みが改善します。

当科では以前からこの術式を取り入れ行っており、全国の中でも慢性膵炎の手術を積極的に行っている施設の1つであり、遠方からの患者さんもみえます。2002年1月から2020年12月までに慢性膵炎40例に手術を行っており、その中で30例にFrey手術を行いました。術後経過を追えた26例のうち、25例(96%)で除痛効果がみられ、そのうち18例(69%)で痛みが完全に消失しました。手術前後での栄養状態の評価では、アルブミン値は術前3.71、術後1ヶ月後3.75に比べて術後1年目には4.2と有意に上昇しました(p=0.01)。コリンエステラーゼ値も術後1年目では194と術後1ヶ月後の138に比べて有意に上昇しました(p=0.017)。このように痛みが消失するだけでなく、栄養状態の改善効果もみられました。

Frey手術の成績

三重大学 肝胆膵・移植外科 / 2002.1〜2020.12 / 30例