• 三重大学医学部附属病院 感染対策チーム

    感染症予防法で、医師からの届出対象となる感染症のリストと届け出基準

    2類感染症
    (1)急性灰白髄炎(ポリオ)


    《 定 義 》

    ポリオウイルス1〜3型感染による急性運動中枢神経感染症である

    《 臨 床 的 特 徴 》

    潜伏期は3〜12日で、発熱(3日間程度)、倦怠感、頭痛、嘔気、項部・背部硬直などの髄膜刺激症状を呈するが、軽症例(不全型)では軽い風邪症状または胃腸症状で終わることもある。髄膜炎症状だけで麻痺を来さないもの(非麻痺型)もあるが、重症例(麻痺型)では発熱に引き続きあるいは一旦解熱し再び熱発した後に、突然四肢の随意筋(多くは下肢)の弛緩性麻痺が現れる。罹患部位の腱反射は減弱ないし消失、知覚感覚異常を伴わない。

    《 報告のための基準 》

    診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の方法によって病原体診断がなされたもの。

    (材料)便など

    • 病原体の検出
      例 ポリオウイルスの分離・同定など


    《届出について》

    届出の対象 患者・無症状病原体保有者(キャリア)
    届出の時期 直ちに
    届出事項 氏名・年齢・性別・職業・住所・所在地・病名・症状・診断方法・初診年月日・診断年月日・推定感染年月日・感染原因・感染経路・感染地域・その他(保護者の住所・氏名)

    《備 考》

    • 急性灰白髄炎には疑似症の適用はない
    • 法による入院の勧告は、無症状の者は対象とならない。
    • ポリオ生ワクチンに用いられているワクチン株ウイルスによる急性灰白髄炎の発症が 極めて稀に発生することがあるが、これについては法による入院の勧告の対象とはならない。

      したがって、ポリオ生ワクチン接種後90日以内の発症及びワクチン接種者の家族等の発症など、ワクチン株由来の発症が疑われる場合には、即座に急性灰白髄炎として扱う必要はないが、野生株とワクチン株の鑑別及び予防接種対策上の観点から、保健所等への連絡が必要である。


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