• 三重大学医学部附属病院 感染対策チーム

    感染症予防法で、医師からの届出対象となる感染症のリストと届け出基準

    2類感染症
    (2)コレラ


    《 定 義 》

    コレラはコレラ毒素(CT)産生性コレラ菌(Vibrio cholerae O1)またはV. cholerae O139に汚染された飲料水や食品を介した経口感染により、激しい水様性下痢と嘔吐、著しい脱水と電解質の流失をきたす疾病である。

    《 臨 床 的 特 徴 》

    コレラの潜伏期間は数時間から5日、通常1日前後である。近年のエルトールコレラは軽症の水様性下痢や軟便で経過することが多いが、まれに“米のとぎ汁”様の便臭のない水様便を1日数リットルから数十リットルも排泄し、激しい嘔吐を繰り返す。その結果、著しい脱水と電解質の喪失、チアノーゼ、体重の減少、頻脈、血圧の低下、皮膚の乾燥や弾力性の消失、無尿、虚脱などの症状および低カリウム血症による腓腹筋(ときには大腿筋)の痙攣がおこる。胃切除を受けた人や高齢者では重症になることがあり、また死亡例もまれにみられる。

    《 報告のための基準 》

    診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の方法によって病原体診断がなされたもの。

    (材料)便など

    • 病原体の検出
      コレラ菌(V.cholerae O1)またはV.cholerae O139 を分離・同定し、かつ、コレラ毒素産生性あるいはコレラ毒素遺伝子の保有が確認された場合

    • 疑似症の診断
      臨床所見、コレラ流行地への渡航歴、集団発生の状況などにより判断する
      (鑑別診断)食中毒、その他の感染性腸炎等


    《届出について》

    届出の対象 患者・疑似症患者・無症状病原体保有者(キャリア)
    届出の時期 直ちに
    届出事項 氏名・年齢・性別・職業・住所・所在地・病名・症状・診断方法・初診年月日・診断年月日・推定感染年月日・感染原因・感染経路・感染地域・その他(保護者の住所・氏名)

    《備 考》

    • 法による入院の勧告は、無症状のものは対象とならない。

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