• 三重大学医学部附属病院 感染対策チーム

    感染症予防法で、医師からの届出対象となる感染症のリストと届け出基準

    4類感染症で全例報告のもの
    アメーバ赤痢


    《 定 義 》

    赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)の感染に起因する疾患で、消化器症状を主症状とするが、それ以外の臓器にも病変を形成する。

    《 臨 床 的 特 徴 》

    病型は腸管アメーバ症と腸管外アメーバ症に大別される。 腸管アメーバ症は下痢、粘血便、しぶり腹、鼓腸、排便時の下腹部痛あるいは不快感などの症状を伴う慢性腸管感染症であり、典型的にはイチゴゼリー状の粘血便を排泄するが、数日から数週間の間隔で憎悪と寛解をくり返すことが多い。潰瘍の好発部位は盲腸から上行結腸にかけてとS字結腸から直腸にかけての大腸である。まれに肉芽腫性病変が形成されたり潰瘍部が壊死性に穿孔することもある。 腸管外アメーバ症は多くは腸管部よりアメーバが血行性に転移することによるが、肝膿瘍が最も高頻度にみられる。成人男性に多い。発熱(38〜40℃)、季肋部痛、嘔気、嘔吐、体重減少、寝汗、全身倦怠などを伴う。膿瘍が破裂すると腹膜、胸膜や心外膜にも病変が形成される。その他、皮膚、脳や肺に膿瘍が形成されることがある。

    《 報告のための基準 》

    診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断や血清学的診断がなされたもの。

    • 病原体の検出
      例 糞便からの赤痢アメーバ栄養体の検出 病変部位(組織切片または膿瘍液)からの本原虫の検出など
    • 病原体の遺伝子の検出
      例 赤痢アメーバに特有な遺伝子配列の検出(PCR法等)など
    • 病原体に対する抗体の検出
      例 患者血清からの赤痢アメーバに対する特異抗体の検出など  


    《届出について》

    届出の対象 患者
    届出の時期 7日以内
    届出事項 氏名・性別・病名・症状・診断方法・初診年月日・診断年月日・推定感染年月日・感染原因・感染経路・感染地域

    《備 考》

    検便は場合によって1回の検査に留めず、連続3日間程度の集中検査で検出精度を高める措置が求められる。

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