• 三重大学医学部附属病院 感染対策チーム

    感染症予防法で、医師からの届出対象となる感染症のリストと届け出基準

    4類感染症で全例報告のもの
    デング熱


    《 定 義 》

    フラビウイルス科に属するデングウイルス感染症で、蚊によって媒介される。

    《 臨 床 的 特 徴 》

    デング熱:2〜15日(多くは3〜7日)の潜伏期の後に突然の高熱で発症。頭痛、眼窩痛、顔面紅潮、結膜 充血を伴う。発熱は2〜7日間持続(二峰性であることが多い)。初期症状に続いて全身の筋痛、骨関節 痛、全身倦怠感を呈する。発症後3〜4日後胸部、体幹からはじまる発疹が出現し、四肢、顔面へ広がる。 症状は1週間程度で回復する。血液所見では軽度の白血球減少、血小板減少がみられる。出血やショック 症状を伴う重症型としてデング出血熱*があり、全身管理が必要となることもある。ヒトからヒトへの直 接感染はないが、熱帯・亜熱帯(特にアジア、オセアニア、中南米)に広く分布する。日本国内での感染 はないが、海外で感染した人が国内で発症することがある。

    *デング出血熱:デング熱とほぼ同様に発症経過するが、解熱の時期に血液漏出や血小板減少による出血 傾向に基づく症状が出現し、死に至ることもある。


    《 報告のための基準 》

    診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断や血清学的診断がなされたもの
    • 病原体の検出
      例 血液等からのウイルスの分離など
    • 病原体の遺伝子の検出
      例 PCR法など
    • 病原体に対する抗体の検出
      例 血清中のデングウイルス特異的IgM抗体の検出 特異的IgG抗体価のペア血清での4倍以上の上昇など

    上記の基準に加えて、下記の4つの基準を全て満たした場合にはデング出血熱として報告する。

    1. 2〜7日持続する発熱(時に2峰性のパターンをとる)
    2. 血管透過性亢進による以下の血漿漏出症状のうち1つ以上
      • ヘマトクリットの上昇(補液なしで同性、同年代の者に比べ20%以上の上昇)
      • ショック症状の存在
      • 胸水、腹水の存在、血清蛋白の低下
    3. 血小板減少(100,000/mm3以下)
    4. 以下の出血傾向のうち1つ以上
      • Tourniquetテスト陽性
      • 点状出血、斑状出血あるいは紫斑
      • 粘膜あるいは消化管出血、あるいは注射部位や他の部位からの出血
      • 血便

    《届出について》

    届出の対象 患者
    届出の時期 7日以内
    届出事項 氏名・性別・病名・症状・診断方法・初診年月日・診断年月日・推定感染年月日・感染原因・感染経路・感染地域

    《備 考》

    なし

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