• 三重大学医学部附属病院 感染対策チーム

    感染症予防法で、医師からの届出対象となる感染症のリストと届け出基準

    4類感染症で全例報告のもの
    マラリア


    《 定 義 》

    マラリアはPlasmodium属原虫のPlasmodium vivax(三日熱マラリア原虫)、Plasmodium falciparum(熱帯熱マラリア原虫)、Plasmodium malariae (四日熱マラリア原虫)、Plasmodium ovale(卵形マラリア原虫)などの単独または混合感染に起因する疾患であり、特有の熱発作、貧血および脾腫を主徴とする。

    《 臨 床 的 特 徴 》

    最も多い症状は発熱と悪寒で、発熱の数日前から全身倦怠や背痛、食欲不振など不定の前駆症状を認め ることがある。熱発は間隔をあけて発熱期と無熱期を繰り返す。発熱期は悪寒を伴って体温が上昇する悪 寒期(1〜2時間)と、悪寒がとれて熱感を覚える灼熱期(4〜5時間)に分かれる。典型的には三日熱 及び四日熱マラリアでは悪寒期に戦慄を伴うことが多い。発熱期には頭痛、顔面紅潮や嘔気、関節痛など を伴う。その後に発汗・解熱し、無熱期へ移行する。発熱発作の間隔は虫種により異なり、三日熱と卵形 マラリアで48時間、四日熱マラリアで72時間である。熱帯熱マラリアでは36〜48時間、あるいは不規則と なる。他の症状としては脾腫、貧血、血小板減少、低血糖、腎肺機能不全、錯乱などがあげられるが、原 虫種、血中原虫数及び患者の免疫状態によって異なる。未治療の熱帯熱マラリアは急性の経過を示し、中 枢神経(マラリア脳症)、急性腎不全、重度の貧血、DICや肺水腫を併発して発病数日以内に重症化 し、致死的となる。

    《 報告のための基準 》

    診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断や血清学的診断がなされたもの
    1. 病原体の検出
      例 血液塗抹標本による顕微鏡下でのマラリア原虫の証明と、鏡検による虫種の確認など
    2. 病原体の遺伝子の検出
      例 PCR法など

    《届出について》

    届出の対象 患者
    届出の時期 7日以内
    届出事項 氏名・性別・病名・症状・診断方法・初診年月日・診断年月日・推定感染年月日・感染原因・感染経路・感染地域

    《備 考》

    診断のため、マラリア原虫の形態保持の観点から採血後は速やかに血液塗抹標本を作製することが強く望まれる。

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