• 三重大学医学部附属病院 感染対策チーム

    感染症予防法で、医師からの届出対象となる感染症のリストと届け出基準

    1類感染症
    (5)ラッサ熱


    《 定 義 》

    ラッサウイルス(アレナウイルス科)による熱性疾患である。

    《 臨 床 的 特 徴 》

    発症は突発的で進行は緩やかである。マストミスに咬まれたり尿や血液に触れる、あるいは感染発症者の血液、体液、排泄物等に直接接する等の後、潜伏期間(7〜18日)を経て、高熱(39〜41℃)、全身倦怠感に続き、3〜4日目に大関節痛、咽頭痛、咳、筋肉痛、次いで心窩部痛、後胸部痛、嘔吐、悪心、下痢、腹部痛が認められる。重症化すると顔面頚部の浮腫、眼球、結膜、消化管出血、心のう胸膜炎、ショック。重症経過で治癒後、一側あるいは両側のろう(難聴)を示すことが20%以上ある。発症期の症状はインフルエンザ様である。

    《 報告のための基準 》

    診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断や血清学的診断がなされたもの。

    (材料)血液、血清、尿、咽頭スワブ及び剖検材料等

    • 病原体の検出
      例 ウイルスの分離など
    • 抗原の検出
      例 ELISA法など
    • 病原体の遺伝子の検出
      例 PCR法など
    • 血清抗体の検出
      例 IgM、IgGの免疫蛍光法による検出など
    • 当該疾患を疑う症状や所見はないが、病原体か抗原が検出されたもの
      (病原体や抗原は検出されず、遺伝子や抗体のみが検出されたものを含まない)

    疑似症の診断

    臨床的特徴に合致し、以下の疾患の鑑別診断がなされたもの

    他のウイルス性出血熱、チフス、赤痢、マラリア、デング熱、黄熱等


    《届出について》

    届出の対象 患者・疑似症患者・無症状病原体保有者(キャリア)
    届出の時期 直ちに
    届出事項 氏名・年齢・性別・職業・住所・所在地・病名・症状・診断方法・初診年月日・診断年月日・推定感染年月日・感染原因・感染経路・感染地域・その他(保護者の住所・氏名)

    《備 考》

    当該疾患を疑う症状や所見はないが、病原体や抗原は検出されず、遺伝子や抗体のみが検出されたものについては、法による報告は要しないが、確認のため保健所に相談することが必要である。

お問い合わせは
E-mail:s-kenko@mo.medic.mie-u.ac.jp

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