• 三重大学医学部附属病院 感染対策チーム

    感染症予防法で、医師からの届出対象となる感染症のリストと届け出基準

    3類感染症
    腸管出血性大腸菌症


    《 定 義 》

    ベロ毒素(Verotoxin,VT)を産生する腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic E.coli, EHECあるいはShigatoxin-producing E.coli, STEC)の感染によっておこる全身性疾病である。

    《 臨 床 的 特 徴 》

    臨床症状はその血清型により差異があるが、一般的な特徴は腹痛、水様性下痢および血便である。嘔吐や38℃台の発熱を伴うこともある。さらにベロ毒素の作用により溶血性貧血、急性腎不全をきたし、溶血性尿毒症症候群 (Hemolytic Uremic Syndrome, HUS) をひきおこすことがある。小児や高齢者では痙攣、昏睡、脳症などによって致命症となることがある。

    《 報告のための基準 》

    診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の方法によって病原体診断がなされたもの。

    (材料)患者便等

    • 病原体の検出
      腸管出血性大腸菌を分離・同定し、かつ、分離された菌のベロ毒素産生性試験陽性またはベロ毒素遺伝子の確認(PCR法など)もしくは便中のベロ毒素の検出

    《届出について》

    届出の対象 患者・無症状病原体保有者(キャリア)
    届出の時期 直ちに
    届出事項 氏名・年齢・性別・職業・住所・所在地・病名・症状・診断方法・初診年月日・診断年月日・推定感染年月日・感染原因・感染経路・感染地域・その他(保護者の住所・氏名)

    《備 考》

    • 腸管出血性大腸菌症には疑似症の適用はない
    • わが国で分離される本菌の代表的な血清型はO157:H7であるが、本症の診断には血清型の如何は問わない(報告に際しては血清型をあわせて報告)

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