
三重大学医学部医学科の前身は、1944(昭和19)年に開校した三重県立医学専門学校であり、1972(昭和47)年の国立移管を経て、現在の三重大学医学部医学科になりました。大学院医学系研究科は、1975(昭和50)年の医学系研究科博士課程の設置に始まり、2001(平成13)年には医科学専攻修士課程を設置しています。看護学科の前身は、1948(昭和23)年に設置された県立医学専門学校附属医院甲種看護婦養成所であり、1997(平成9)年の4年制大学への移行を経て、現在の三重大学医学部看護学科になっています。さらに、2002(平成14)年に看護学専攻修士課程を設置し、2016(平成28)年には、県内で最初の看護系博士課程大学院となる大学院医学系研究科看護学専攻博士後期課程を設置しています。医学部附属病院は、1943(昭和18)年に津市立病院から移管された医学専門学校附属病院が始まりで、医学部の変遷とともに現在に至ります。三重大学医学部医学科は、三重県における唯一の医師養成機関として、また、看護学科は、三重県における看護師・助産師・保健師養成のリーダー的高等教育機関として、附属病院は、高度先進医療・臨床研究の拠点、医学科・看護学科学生の教育病院として、その役割を果たしています。
2021年1月、三重大学医学部医学科は、一般社団法人日本医学教育評価機構(JACME)・世界医学教育連盟(WFME)による医学教育分野別評価で、国際標準の医学教育を実施する大学としての適合評価を受けました。また、国の事業の採択を受け、総合診療医の育成、感染症医療人材の養成にも積極的に取り組んでいます。
文部科学省は、大学の機能分化の方針を定め、国立大学に対して3つの重点支援の枠組みを提示しました。三重大学は、「地域のニーズに応える人材育成・研究を推進する大学」を選択しています。全国の86国立大学のうち、地域社会との繋がりが強い大学、地域において三次医療機関として機能する附属病院を有する大学を中心に、55大学が三重大学と同じ枠組みを選んでいます。三重大学大学院医学系研究科・医学部は、これらの大学のなかに埋没することなく、地域社会と連携して特色のある教育研究活動を展開していきます。
大学医学部の本質的な存在意義は、人々の健康に寄与する“医療人材”、“研究成果”、”先進医療”を社会に提供することであると考えます。三重大学医学系研究科・医学部は、地域社会を支える保健医療人材の育成と地域社会の保健医療を向上させる科学的知見の発見、新しい医療の創出により、地域の保健・医療・福祉の維持発展に貢献することを目指します。地域社会への貢献によって地域社会から信頼され、地域社会から不可欠な存在として認めていただけるよう努力します。また、地域社会にとどまらない人類全体の健康や福祉への貢献を追求し、国際通用性のある能力を持つ人材の育成と優れた研究成果の世界への発信を行なっていきます。
三重大学大学院医学系研究科・医学部は、学生と教職員との協力の下に未来を創造する教育研究活動を推進し、社会への貢献とともに社会に対する説明責任を果たしていきます。今後とも三重大学大学院医学系研究科・医学部の活動へのご理解とご支援をお願い致します。
令和4年4月
医学系研究科長・医学部長 堀 浩樹