今週の画像
症例のMammography(1)とEcho像(2)を供覧します。
別の症例ですが、乳癌の肉眼像(外表3,割面4)を例示します。この症例では、乳癌が大きくなり、皮膚へ自壊し、一部で空洞形成をしています。割面では、脂肪組織との境界が不鮮明になっているのがわかると思います。境界部分の光沢のある白色部分は、癌の間質の増生に伴うものです(後述)。
組織像も典型的な別の症例のものです。乳癌の大部分は、浸潤性乳管癌です。日本の乳癌取扱規約では、3型に分けられており、乳頭腺管癌(5,6)、充実腺管癌(7,8)、硬癌(9,10)です。癌巣の大きさは、この順で小さくなって行き、間質の線維化はこの順で強くなっていきます。これに加えて、充実腺管癌は、癌部の辺縁が比較的はっきりしているというのが、組織診断の重要点です。これらの組織像は一つの組織で移行がみられます。最もよく見られた組織を病理診断名としたとき、患者の予後は原則的にはこの順で悪くなります。5,6は、既存の乳管内発育をする部位です。石灰化があることに注目して下さい(青く染まる無構造物)。9,8は線維化が強く、癌巣が小さいことに注目して下さい。多くの乳癌症例では、脂肪組織への浸潤はこの形をとります。この組織は、病理組織の標本箱のG-14で見ることができます。
乳腺の良性疾患として、線維腺腫の組織像を供覧しておきます(11,12)。11の左側でわかるように、良性腫瘍では線維性被膜が形成され、境界が明瞭です。この標本は、G-9で見ることができます。正常乳腺組織もそばに付属していますので、見ておいて下さい。
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