三重大学医学部神経内科学 葛原茂樹
第23回日本神経治療学会総会を平成16年6月9日(木)〜10日(金)の2日間、三重県鳥羽市で開催することになり、三重大学神経内科の関係者一同で準備を進めております。
今回は副題を「治療ガイドラインを基礎にしたテイラーメイドの神経治療学」とさせていただきました。この数年来、本学会と、日本神経学会、日本脳卒中学会など関係諸学会が協力して、パーキンソン病、痴呆、てんかん、筋萎縮性側索硬化症、脳卒中、頭痛、免疫性神経疾患など、頻度の高い神経疾患を中心に、EBMに基づいた治療ガイドラインが作成されました。その結果、神経疾患の多くで標準的治療が確立され、広く実施されるようになりました。
その一方で、ガイドラインは原則的一般的な指針であるために、実際の適用に当たっては個々の患者様の特性に配慮したきめ細かいさじ加減が不可欠です。薬にも、それを受け入れる人体にもそれぞれ個性があり、それらを上手に組み合わせることにより、最高の治療を実施するのがテイラーメイドの治療学(tailor−made medicine)です。その中で、ご本人の社会的背景を考慮に入れて治療方針を考える必要があります。本総会は、これらを総合的に考え深める場にしたいと思っております。
特別講演には、脳血管障害の血管内治療のわが国の第一人者である三重大学脳神経外科学・滝 和郎教授に、脳血管障害の外科的治療の最前線についてお話をお願いしております。そのほかにも、神経治療学に関連した最新の臨床的研究、基礎研究、および社会医学的・倫理的観点からの企画も取り上げる予定です。会員の皆様からも、神経治療学の各分野からたくさんの演題のご応募をお願いいたします。
学会が開かれる鳥羽市は、伊勢志摩国立公園の中心にあり、リアス式海岸や海女の海、御木本真珠島などの自然に恵まれ、すぐ近くにはわが国最古の伊勢神宮があります。学会終了後には、伊勢志摩の自然と歴史を満喫していただきたいと思います。多数の皆様のお越しをお待ちしております。