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自閉症、ASD等の発達障害解明の研究を行っています。

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解体新書

2014年10月5日 成田正明

先日国立博物館での企画展「医は仁術」に行ったあと、
「『解体新書の現代語訳版』がある。三重大医学部の大先輩であられる酒井シヅ先生がお書きになった本です。」と江藤助教から教えてもらい、早速購入し、いま読んでいます。

昔の人はたいへんな苦労をされて・・・、と思いながら読み進めており、結構驚かされます。

当然今の時代のほうが知識もたくさんなのですが、あの時代の方たちにしかわからなかったこと、たくさんあります。

たとえば膀胱。

解体新書には、「ふいごのように伸び縮みして」とあります。
いやそれは知っている。移行上皮による伸び縮み。
しかしホルマリン固定状態で観察させて頂く膀胱は小さく縮んで硬くなってしまっていて、解剖実習では移行上皮が担っている「ふいごのよう」なその様子はよくわかりませんでした。

解体新書を読み進めることで、今の解剖学では見逃してしまいそうなことを、学生には伝えていかないといけないと思います。

杉田玄白先生は最後に、「医者はまず人体の内景を正しく知らなければならない。自分たちがこれまでそれを知らないで医を業としていたのは恥ずべきことである」とも。
「それを知らないで」とは、あの時代には知られていなかった人体の知識。

解剖学を知ってる私たちは、「恥ずべきこと」だけではすみません。

医療事故が起きないようにするためにも、解剖学をおろそかにしないように講義・実習では伝えていきたいと思います。

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