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自閉症、ASD等の発達障害解明の研究を行っています。

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那智の滝

2015年5月19日 成田正明

先日時間があったので、一度見てみたいと思っていた那智の滝に行った。

実は那智の滝を訪れたのは今回が初めてではない。
結婚したてのころ妻と二人で車で来た。
25年前だ。そのときの話だ。

それはお互い神戸大の大学院生のときである。
まだ研究テーマもろくに決まっていない、犬も子供もいないお気楽な若い二人である。
5月の連休のある日、当てられ続けていた当直の合間に、やめときゃいいのに
「ちょっとクルマで紀伊半島一周ってやってみいへん?」と私が言い出して、「行ってみますか」て感じで出発した。
夕方4時ごろ神戸から大阪経由、反時計まわりで紀伊半島を一周だ。

無謀だった。
見込みではおそらく夜10時ごろには神戸の家に戻ってこれるやろ、と思っていたが読みが甘く、その大きさはきっと丹後半島程度だろうと思っていた紀伊半島は実は超大きいことは想像できなかった。
カーナビとかもないし。

それに気づいたのが紀伊半島のちょうどまんなかの串本あたりで、それは午後9時ごろで、絶望的になったが、最早こんなところで引き返すこともできない。
翌日休みだということもあり、一周完全走破を目指すことにした。運転はほとんど私だった、と思う。

午後10時ごろ那智勝浦通過、そのときライトの先に「那智の滝こっちへ10km」と書いてある看板をみつけ、「ま、この際行ってみますか」、てことになり、暗闇の内陸に続く道を登って行ったのである。
対向車もなく真っ暗闇の連続ヘアピンカーブをいくつか経て、午後10時半頃、「那智の滝ここ」という場所に登りついた。

「着いた―、ここが那智の滝かあ」、て感じでドアを開ける。
「ゴーーー」というすざまじい滝の音が聞こえてくる。
ひんやり、真っ暗闇。
「で、滝はどこだ?」
「ゴーーー」という滝の音はすれども滝はどこにも見えない。
ライトアップなどない。でも音の感じからしてすぐそこのようだ。

「せっかく来たのに音だけじゃねえ。いつかまた来ようね」って感じでクルマに戻った。
「この荘厳な音を醸し出してる滝はいったいどんな滝なんだろう」という想像が膨らんだ。

・・・・あれから25年。

単身でではあるが、今回ついに昼間に那智の滝全貌を見るという25年来の夢がかなったことになる。
それはそれで勇壮であった。

しかしである。なんか違う。
真昼間でヒトや車、大型バスも多く、そのせいか滝の音もかき消されてしまっている。

25年前に真っ暗闇で聞いた豪快な滝の音から想像を膨らませたイメージとはまた違っていた。

それは25年前二人の将来がどうなるか、想像だけしていたまったくわからない状態と重なる。
あのとき25年後はどうなるか、まだ学会発表一つ・論文ゼロの私たちには想像できなかった。
そして5年後には犬1匹と夫婦でアメリカで留学しており、10年後にはつくばにもどり教員、犬と娘が増え、20年後には三重の人に。

振り返ってばかりいられないくらい毎日やることがある。
でもまず健康に感謝だ。
やれること助け合ってやってきた。
あの那智の滝の神が守ってくれたのかもしれない。

百聞は一見にしかず、ともいうが、
”滝は夜だ”、と思った。

(追)あの旅はその後、新宮・尾鷲・英虞湾・深夜の宇治橋(伊勢神宮)・松阪・津・名阪をへて翌日午前4時ごろ神戸に戻り夕方まで寝た。まさか20年後津の人になるとは夢にも思わず、にである。続きはまた時間あるときにでも書きます。

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