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自閉症、ASD等の発達障害解明の研究を行っています。

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谺(こだま)返し2〜サイエンス編

2016年11月10日 成田正明

前回のブログで、忍術「谺(こだま)返し」に触れました。

中日新聞連載「影ぞ恋しき」(135, 2016年11月7日)によれば、谺返しとは、「己の声を離れたところから響かせる」忍術とあります。

暗がりから柳生内蔵助(やぎゅうくらのすけ)が切りつけてきたところに、雨宮蔵人は柳生内蔵助に向かって言いました。
雨宮蔵人「谺返しだな?」
柳生内蔵助「(私の里の)大和柳生庄(奈良県北東部)と伊賀は隣国ゆえ、互いに術が伝わっておるのでな」と。

おそらく谺返しとは、山や壁伝いに声を伝導させて谺を響かせ、音源がどこかわからないようにしているのだと思います。
この術を使われると暗闇ではお手上げです。
暗闇では音だけが唯一、音源(=敵がどこにいるか)を知りうる方法ですから。

さて現在でも音源、即ち音(声)がどこから聞こえてきているかはコミュニケーションで大切です。
名前を呼ばれ、後ろだな!とさっと振り向くなど。

この、音がどこから聞こえてくるのか知る力を「音源定位」と言います。
この力が弱い人もいらっしゃると思います。
音がどこから発しているのかわからない・・・。

音源定位機能は耳の奥深く、聴覚の脳中枢で働いています。
私たちのグループは最近、音源定位即ち、音がどこから聞こえてくるのかを担っている聴覚の脳の中枢核を、ラットでですが、顕微鏡で見ることに成功しました。

そしてその部分がうまく発達していないラットがいるのです。

そういうラットを詳しく調べ、音がどこから聞こえてくるのかを知る力が弱い人たちの助けになるような成果を出したいと思います。

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