本文へスキップ

自閉症、ASD等の発達障害解明の研究を行っています。

ブログ

本は読めなくても

2017年9月22日 成田正明

成田です。こんにちは。

先日、小児神経セミナー「発達性読み書き障害の診断と治療」(小枝達也先生)を受講しました。

算数障害というのはよく聞きます。しかしこの読み書き障害、特に読みの障害というのは、音読ができないということであり、文字を一つ一つ拾って読む、そのため指でなぞって読む、黙読はもっと無理、などです。 小枝先生も言っておられましたが、ひとたび内容が理解できると二回目以降の読みは比較的スムーズになります。

当事者にとってみれば、これはまわりの人にはうかがい知れないような困難と言えます。誰にもわかってもらえません。それだけに、苦手を隠すために文章を予め覚え込んできて、みんなの前では上手な読みを披露するような苦労があるとのことです。 昔自分が中学生のころそういう生徒がいたの、思い当たります。

たいへんだったんだろうなあ、彼。

理解や支援法が広まればなと思いましたが、はっと思ったことがありました。それは

実は私は本が読めないのです。嘘かと思う向きもあるでしょうが、1cmもあるような文庫本の小説・物語は絶対ダメ。読めたためしなし。なかなか信じてもらえない。それは君があきっぽいからだとか言われる。 それどころか2時間ドラマや映画もまずわからない。 もし観るのなら登場人物が出てくる毎にメモ書きが必要。連ドラなら必ず前回の振り返りがあるのでまだ見やすい。NHKの朝ドラなどは親切な解説でありがたい。でも映画や2時間ドラマは一気に進む。 だから映画とか2時間ドラマ観るのってすごく疲れるんです。小枝先生も言っておられました、「読み障害の子、とつとつと1文字づつ読むのだが、それはとても疲れることだ。読むことで疲れ切ってしまう」と。

私は本は読めないとは言っても本は好きで、解説本とか攻略本、エッセイ、タレント本は大好き。学術論文は英語でも日本語でも書いたり読んだりは、まあする。こちらは大変ではあるがまあできる。論文はくどくどねちねち読むから。長い論文など、小説みたいになってくると難しくなる。新聞も好きだ。天声人語とかも。でも物語はやっぱりだめなのです。

一方、ストーリーや登場人物を知りつくしている小説は大好きです。本能寺の変とか関ヶ原とか。買って何回も読む。映画も観るときはあらすじを必ず試験前みたいに読み込めば何とかなる。それなら楽しく見れる。そしてひとたび自分のものにしたら最後、同じ映画10回くらい見ることもしばしばだ。

こういう自分の経験を思い出し、小枝先生の読字障害の講演を聞いて、私のもそういうのなのかな、とも思ったのです。だから2時間ドラマや初見の映画とかはすぐわからなくなり、結果寝てしまい、「そんなにつまらなかった?」など言われる。

単純なストーリーのミュージカルとかは20回くらい観に行くくらいですから。劇団四季「マンマミーア」とかは30回は見た。セリフや身振りすべて記憶している。初回以外は寝たことない。

でも本はダメなんです。

読字障害は「音韻処理能力の障害」とされますが、私の場合のは自分ではこれは単にワーキングメモリーの障害かな、とも思うが、どうなのか。

読字障害でほんとに困っておられる方には私の悩みなど程遠く申し訳ありませんが、なんかほんのちょっとだけ分かったような気がします。

ブログトップに戻る

バナースペース

三重大学 発生再生医学研究分野

〒514-8507
三重県津市江戸橋2-174

TEL 059-232-1111 内線6328
FAX 059-232-8031