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自閉症、ASD等の発達障害解明の研究を行っています。

リニューアル!平成・令和 リレーブログ

ジェンダード・イノベーション

2021年8月19日 江藤みちる

こんにちは、江藤です。
ジェンダード・イノベーションって、聞いたことありますか?

ジェンダー(gender)とは、社会的・文化的な性別のこと。(生物学的な性別はsexといいます)
イノベーションは、新しいアイデア、革新。
すなわち、ジェンダード・イノベーションは、
科学技術や政策に性差分析を取り込むことで、新たな視点や方向性を見出し、
真のイノベーションを創出する、というものです。

私がはじめてこの言葉を聞いたのは、先月末の日本神経科学会の特別教育講演でした。
「研究と研究環境のGendered innovations−これまでとこれから」というタイトルで、
経済学がご専門の名古屋大学の隠岐さや香先生がお話になったのでした。

身近な例として、シートベルトの話を聞いたことがあるかもしれません。
これまで、車の開発では成人男性の身体を基準に作られ、衝突実験でも男性のモデルが使われてきました。
しかし、いまや運転免許保有の男女比はほぼ1:1で、三重県では1人1台所有も珍しくありません。
私は夫と車を共有していますが、私は背が低いので、シート位置を前方にずらす必要があります。

妊婦も車を運転します。
しかし、従来の3点固定式のシートベルトは衝突の際に妊婦の腹部を強く圧迫し、
胎児が傷つくリスクを増大させる可能性もあります。
母親と胎児の両方の安全を守るためにも、ジェンダーの視点はとても重要です。

別の例では、google翻訳をとりあげましょう。
Google翻訳に「江藤先生は女性だ」と入力すると、「Mr. Eto is a woman.」となります。
文章に女性とあるのに、Mr.がついています。
これは、Google翻訳が愚かであるのではなく、これまでの社会で、「先生は男性が多い」という
事実に基づいてGoogleが学習してきた結果である、とのことなのです。

上記2つの例については、ジェンダード・イノベーションを世界で初めて提唱した、
Londa Schiebinger先生による ”自然科学、医学、工学におけるジェンダード・イノベーション”
(訳:小川眞里子、学術の動向、2017.11)を参考にしました。
これらは今後改良されていくでしょうし、
もっと別の分野でも、新たな発見やイノベーションが起こることでしょう。

昨日、日本学術会議の公開シンポジウム「ジェンダード・イノベーション」がオンラインで開催されました。
医学・工学・農学・社会学、大学・企業など、いま、さまざまな分野で注目されているジェンダード・イノベーション。
よりよいものを作り出すために、意識してみませんか。

参考URL
genderd innovations
日本学術会議シンポジウム ジェンダード・イノベーション
日本学術会議シンポジウム Londa Schiebinger教授による基調講演 講演の録画、日本語字幕付き。ぜひご覧ください!

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