橘南谿(たちばな・なんけい)をご存じでしょうか。三重県津市久居出身で江戸時代の医学者です。
三重県や津市のホームページにも、郷土の偉人として「近代医学の先駆者・橘南谿」と紹介されていますが、
恥ずかしながら私、今回、初めて知りました。
橘南谿を知るきっかけとなったのは、
このたび久居ふるさと文学館にて「第3回橘南谿展」が開催されるという知人からの紹介でした。
今回の展覧会では橘南谿が関わった解剖図が公開されるので、ぜひ見ていただきたいとのことでした。
展覧会については新聞でも紹介されており、つい先日、私も見てきました。
今回初公開されたのは「平次郎臓図」で、巻物が展示されていました。
非常に状態がよく、色彩も鮮やかで字もはっきりと読むことができました。
「平次郎臓図」は日本中に写しが存在し、今回のは14個目に発見されたとのことです。
処刑された罪人「平次郎」の解剖を実際に行ったのは橘南谿で、
杉田玄白と親交のあった小石元俊の指導の元で実施し、吉村蘭洲という絵師に書かせました。
京都・伏見の宇治川の河原の刑場で、各臓器の断面図や脊柱などをたった一日で解剖し、
しかも現在と大きくは変わらない記録であることには驚きます。
橘南谿は日本で最初の解剖術に関する書物「解体運刀法」を記しました。いわゆる「解剖実習の手びき」です。
今回の展覧会でも、その内容の一部(現代語訳)が紹介されていました。
「次に〇〇をして、〇〇を見る」など、淡々と方法が記されていましたが、最後に、
「不浄と思ってはならない」
「必ず真心を尽くして」
「これ一人を残して数千人を救う道である」
「それなら必ずもてあそぶ事の様にならざる様に心得るべきである」
と、解剖の心得もしっかりと記されていました。
現在の解剖も同じです。
「腑分け」と言われていた江戸時代の解剖から、現在令和の医学部の解剖へと
医師や解剖学者が志を受け継いできたことに感動を覚えました。
第3回橘南谿展は、2025年2月2日までです。この機会にぜひご覧ください。
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