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リニューアル!平成・令和 リレーブログ

橘南谿

2025年1月29日 江藤みちる

橘南谿(たちばな・なんけい)をご存じでしょうか。三重県津市久居出身で江戸時代の医学者です。
三重県や津市のホームページにも、郷土の偉人として「近代医学の先駆者・橘南谿」と紹介されていますが、
恥ずかしながら私、今回、初めて知りました。

三重県 県史あれこれ 近代医学の先駆者・橘南谿
津市 津にゆかりのある人物 橘南谿

橘南谿を知るきっかけとなったのは、
このたび久居ふるさと文学館にて「第3回橘南谿展」が開催されるという知人からの紹介でした。
今回の展覧会では橘南谿が関わった解剖図が公開されるので、ぜひ見ていただきたいとのことでした。
展覧会については新聞でも紹介されており、つい先日、私も見てきました。

中日新聞 解剖図の写しを県内で発見 津出身で江戸期の医学者・橘南谿が執刀 2025年1月25日
伊勢新聞 江戸時代の医師、橘南谿を紹介 津で企画展、初公開の解剖図模写など115点 三重 2025年1月25日

今回初公開されたのは「平次郎臓図」で、巻物が展示されていました。
非常に状態がよく、色彩も鮮やかで字もはっきりと読むことができました。
「平次郎臓図」は日本中に写しが存在し、今回のは14個目に発見されたとのことです。

処刑された罪人「平次郎」の解剖を実際に行ったのは橘南谿で、
杉田玄白と親交のあった小石元俊の指導の元で実施し、吉村蘭洲という絵師に書かせました。
京都・伏見の宇治川の河原の刑場で、各臓器の断面図や脊柱などをたった一日で解剖し、
しかも現在と大きくは変わらない記録であることには驚きます。

橘南谿は日本で最初の解剖術に関する書物「解体運刀法」を記しました。いわゆる「解剖実習の手びき」です。
今回の展覧会でも、その内容の一部(現代語訳)が紹介されていました。
「次に〇〇をして、〇〇を見る」など、淡々と方法が記されていましたが、最後に、
「不浄と思ってはならない」
「必ず真心を尽くして」
「これ一人を残して数千人を救う道である」
「それなら必ずもてあそぶ事の様にならざる様に心得るべきである」
と、解剖の心得もしっかりと記されていました。

現在の解剖も同じです。
「腑分け」と言われていた江戸時代の解剖から、現在令和の医学部の解剖へと
医師や解剖学者が志を受け継いできたことに感動を覚えました。

第3回橘南谿展は、2025年2月2日までです。この機会にぜひご覧ください。

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