現代の日本人はどこからやってきて、どのような進化を遂げてきたのか。
この謎、人骨のDNAをたどれば見えてきます。
それがわかる展覧会、「古代DNA」。
現在、名古屋市科学館で開催されており、見にいってきました。
夏休み中ということもあり、子どもも多く、家族連れで大変賑わっていました。
まず、「白保竿根田原洞穴遺跡4号人骨」と呼ばれる、国内最古の人骨が展示されていました。
旧石器時代、約27,000年前と推定されています。
驚くべきは、部分的ではありますが、骨の形がかなり保存されていること。
両方の鎖骨のカーブ、軸椎の「喉仏さま」、右橈骨の橈骨頭のきれいな車軸関節。
手根骨の有鈎骨の突起。膝蓋骨のきれいな形。腓骨頭の独特な膨らんだ形。
解剖学の視点でじっくりと拝見しました。
その後、縄文時代が到来します。
縄文時代は、16000年前から2900年ほど前までで、一万年以上も続きます。
人骨の炭素、窒素の同位体の分析により、
主に穀物を食べていたのか、海の生き物を食べていたのか、なども推定できます。
私たちは食べたもので作られているということを改めて実感します。
このころから土偶など土製品も出土します。
とても小さいヒト女性型の土偶や、クマ・ウリボウ・イカなど大変かわいらしいです。
弥生時代に入ると、朝鮮半島から人々が流入して、文化もDNAも混ざってきます。
縄文人由来のDNAが明らかに多いのは東日本・東北で、かなり明確に違いが出ていました。
ヒトだけでなく、身近な生き物であるイヌ・ネコが
いつから日本にやってきたのか、もありました。
古墳時代の土器(須恵器)についたネコの足跡をみると、
昔も今も同じなんだなあと妙に実感します。
琉球列島、北海道に着目した展示もありました。
弥生時代には、南の島の特産である大型の巻貝を加工して腕輪にして、
九州と交易を行う海上ルートも存在していたそうです。
北海道にまで貝製品が伝わっていたそうで、
当時、そんなにも広範囲におよぶ交易ネットワークがあったとは驚きです。
「古代DNA」とタイトルは堅苦しそうですが、気軽に楽しめる展示でした。
人骨の展示があるたびに近寄って、
頭蓋骨の茎状突起が折れずに残ってる!とか、
頬骨弓のでっぱり具合がちょっとずつ雰囲気違うな〜とか
解剖学的視点から興味深く貴重な資料をみることができました。
9月23日まで名古屋市科学館で開催されています。ぜひ足をお運びください。
また、特別展のついでに、常設展も見ることができます。
常設展もものすごく広くて、ほんの一部しか見ることが出来ませんでした。
こちらは、また改めて訪れたいと思います。
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