私は本好きだ。
最近は電子書籍もあるが、やっぱり紙の本が良い。
ふらりと本屋に行って本棚を眺めるのは至福の時。ちょっと気になったらすぐ買ってしまう。
仕事の本は辞書的に使うためになかなか通読はできず、
小説やエッセイもかなり読み飛ばしてしまうが、
それでも新しい世界との出会いはとても楽しい。
最近、ネットの古本屋を良く利用するようになった。
本屋には新しい本や需要の高い本だけが並んでおり、
絶版になってしまった本は入手できず諦めていたが、
最近、ネットの古本屋で見つけ、値上がりしていたが入手できた。
この成功体験によって、諦めていた他の本もその後、購入できた。とても嬉しい。
ネットの古本屋は送料が発生するため、
1冊よりはついでに2,3冊買えたら良いなと
なにか良い掘り出し物が無いかと検索し、なんとなく注文した本がある。
坂井建雄先生の「人体観の歴史」だ。
最近、医史学を勉強しているので、この本を買ってみた。
届いてページを開くと、目次の一部が鉛筆で囲んであった。

古本なので、そういうこともあるだろう。仕方がない。
パラパラとページをめくっていくと、あとがきにも書き込みを見つけた。
ここには丸や線ではなく文字が書かれていた。

「一次文献の翻訳からやったのか。すごい。」
前の持ち主のリアルな感想が、そこにはあった。
現存する最古の解剖学書であるガレノスの著作について、
日本語や英語の訳書では人体観を読み取れなかったために
坂井先生らは古代ギリシャ語の原著の翻訳を行ったというのだ。
この書き込みを見つけた時、「前の持ち主からのプレゼント」だと思った。
本には、持ち主の思いも含まれていたのだ。
私は、前の持ち主に共感し、嬉しくなった。
古本は、次から次へと受け渡されていく仕組みだが、
単なる物質的なreuseだけではなかったのだ。
書き込みありの本には思いのオマケが付いてくる。
私が読んだ本も、いずれ誰かを喜ばせることができるだろうか。
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