心臓血管外科
先天性心疾患 〜心臓血管外科領域〜
生後間もない新生児から、年長児、成人まで幅広く外科治療に取り組んでいます。
心室中隔欠損症、ファロ-四徴症等はもちろん、新生児期に外科治療が必要な大血管転位症などの根治術、左心低形成症候群など複雑な病気にも極めて良好な成績を得ています。
また、ロス手術や傷跡の少ない低侵襲手術など新しい手術方法の開発を行うなど、国内でも最先端の外科治療を行っています。
[治療実績]
心室中隔欠損症、ファロ-四徴症等、大血管転位症、左心低形成症候群など。
VSD | 189 | Sub AS | 2 | SRV | 55 |
---|---|---|---|---|---|
ASD | 83 | PVO | 3 | HLHS | 37 |
TOF,PS | 69 | CoA,VSD | 5 | TA | 11 |
PDA | 53 | IAA,TGA | 1 | PAIVS | 12 |
TGA | 31 | PA-LA shunt | 1 | SLV | 5 |
DORV | 36 | Cortriatriatum | 1 | Unbalanced AVSD | 5 |
CoA | 23 | Ebstein | 1 | SV,TAPVC | 3 |
TOF,PA | 12 | Truncus | 3 | Sternal open | 26 |
DCRV | 13 | TOF,APVS | 3 | PM management | 19 |
TAPVC | 13 | APwindow | 1 | Arrhythmia | 16 |
PAPVC | 13 | APwindow | 1 | Elevated diaphragma | 6 |
AVSD | 18 | RPS | 1 | Chylothorax | 2 |
AR | 6 | PR | 1 | Tamponade | 4 |
PS | 10 | TSr | 1 | Mediastinitis | 5 |
TR | 4 | Cardiac tumor | 1 | Broncheal stenosis | 2 |
SAS,VSD | 2 | Stuck valve | 1 | Chylopericardium | 1 |
APVS | 2 | Supra MS | 1 | Sternal cleft | 1 |
cTGA | 4 | BT obstruction | 1 | Others | 53 |
IAA,VSD | 10 | RV perforation | 1 | LV-RAshunt | 2 |
Ductal stenosis | 1 | AS | 6 | Coronary ischemia | 4 |
MR | 7 | RV aneurysm | 1 | CAVVR | 2 |
IVC aneurysm | 1 | SVCstenosis | 2 | PA,VSD | 15 |
AO aneurysm | 2 |
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最近3年間の術後早期死亡率は0%で日本全国平均1.8%、アメリカ平均である4.2%を下回りました |
平均手術時間 (177±110 分)、体外循環時間 (96±46 分)、大動脈遮断時間 (46±32 分)はいずれも毎年短縮しています |
左心低形成症候群に対する第一期両側肺動脈絞扼術![]() |
剣状突起下アプローチによる小切開ASD手術![]() |
MUF,DUF可能な三重大式半閉鎖型体外循環回路![]() |
単心室症に対する第一期肺動脈形成術![]() |
One-way valved patchによる二心室修復術![]() |
開心術時の乳児期漏斗胸形成術![]() |
両方向性グレン術後の肺動脈発育![]() |
ファロー四徴症術後右心機能の局所評価![]() |
総動脈管症に対する第一期両側肺動脈絞扼術![]() |
小児体外循環後MUFに関する研究![]() |
小児慢性重症心不全に対するCRT![]() |
ゴアテックス3弁付き人工血管による右室流出路再建![]() |
最近5年間で26編(英文24編、和文2編)の術式の改良、体外循環、治療戦略などの学術論文を発表しています
後天性心疾患 〜心臓血管外科領域〜
冠動脈手術では従来の人工心肺を用いない手術(off pump bypass)を第一選択とし、重症な冠動脈疾患の外科治療も良い成績を上げています。
弁膜疾患では高齢者の大動脈弁手術、僧帽弁では弁形成術を中心に行っています。
[治療実績]
冠動脈疾患、弁膜疾患患など。
虚血性心疾患に対する当科の方針
・Off pump CABGを第一選択としています。
・虚血性僧帽弁逆流症に対しては、僧帽弁輪形成術を行い、重症例に対しては乳頭筋接合術も併用しています。
・術前MRI(Late Gadolinium Enhancement)で梗塞範囲を評価し、必要に応じて左室形成術も行っています。
・心室同期不全(Ventricular Dysynchrony)のある症例に対しては心臓再同期療法(CRT)も併用しています。
・心室中隔穿孔等の心筋梗塞機械的合併症に対する手術も行っています。
・慢性透析症例に対する手術件数も増加しております。
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・最近の手術成績 2007年は待機手術、緊急手術とも30日以内の手術死亡、在院死亡はありませんでした。 2008年は待機手術では、30日以内の手術死亡はありませんでしたが、緊急手術で1例の方が亡くなられました。 |
手術成績(2004-2008) 5年間 |
当科における最近の弁膜症症例数の推移と手術成績
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平成16~20年の症例数:151例(手術死亡4例、2.6%) |
当科の弁膜症症例の治療方針
- 最近の弁膜症患者は高齢者(H20年は70歳以上が20例、内80歳以上3例)や合併疾患を伴った患者が多く、術前に可能な限り全身の評価(特に頭頸部血管)や管理を行っています。
- 僧帽弁閉鎖不全症では形成術を第一選択にしており、H20年の形成術成功率は89%(8/9)でした。
- 弁膜症に合併した心房細動に対して、maze手術を積極的に行っており、退院時の洞調律復帰率は82.4%と良好な成績です。また、術後MRIによる心房収縮能の評価を行っており、maze手術の今後の方針を検討しています。
血管疾患 〜心臓血管外科領域〜
末梢血管の外科治療を行っています。大動脈瘤の外科治療は県内で最も多く手がけています。 また、大動脈瘤に対する血管内治療(ステンドグラフトによる治療)は日本で最も早くから開始しておりその成績は国際的にも高く評価されています。 また、四肢の動脈閉塞症に対しては従来の外科手術による治療に加えて、遺伝子治療も開始しています。
[治療実績]
大動脈瘤(手術、ステントグラフト治療)、閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤。
当科では大動脈から末梢動脈、静脈疾患まで幅広く治療にあたっております。
大動脈疾患に対しては通常の開胸・開腹による人工血管置換術に加え、ステントグラフトを用いた血管内手術に本邦でも最初に取り組んだ施設の1つであります。
1997年よりは、急性大動脈解離に対しても適応症例ではステントグラフト留置によるエントリー閉鎖術を世界に先駆けて導入しており、その成果は1999年にNew England J Medicine誌に掲載されました。
一般手術でも小切開の開腹による腹部大動脈置換術や、ステントグラフトを利用した広範囲胸部大動脈置換術(Open Stent-Grafting)などの低侵襲手術を手がけ、他院で手術不能とされた症例に対しても治療に成功しております。
また近年次項の如く高齢化社会を迎え、大動脈疾患を中心に血管外科が担当する症例が増加してきています。
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血管外科手術例数 |
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大動脈瘤・大動脈解離治療症例数 |
2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 合計 | ||
胸部開胸手術 | 0/10 | 0/9 | 1/12 | 0/14 | 0/13 | 1/58 | 1.7% |
胸部血管内治療 | 0/9 | 0/6 | 0/6 | 0/15 | 0/26 | 0/62 | 0% |
腹部開腹手術 | 0/38 | 0/32 | 0/26 | 0/24 | 0/17 | 0/137 | 0% |
胸部血管内治療 | 0/0 | 0/4 | 0/3 | 0/27 | 1/43 | 1/77 | 1.3% |
胸部開胸手術 | 胸部血管内治療 | 腹部開腹手術 | 腹部血管内治療 |
7/17 41.2% | 1/3 33.3% | 4/18 22.2% | 1/4 25% |
呼吸器外科
呼吸器疾患 〜呼吸器外科領域〜
最近増加が著しい早期肺癌では術前HRCT、PET検査で詳細な検査にて適応を確定して根治的縮小手術や胸腔鏡併用手術の適応を広げています。
また、抗癌剤感受性試験を利用した術後化学療法、CTガイド下経皮的腫瘍焼灼術、経気管支鏡治療(腔内照射、ステント治療)等の先進医療も行っています。
原発性肺癌、転移性肺腫瘍、縦隔・胸壁腫瘍、肺嚢胞性疾患(自然気胸など)の外科治療を県下では最も多く行っています。
[治療実績]
原発性肺癌、転移性肺癌、良性肺腫瘍、縦隔腫瘍、悪性胸膜中皮腫、自然気胸、肺気腫、感染性・炎症性肺疾患、手掌多汗症、漏斗胸など。
2012年度の当科における手術死亡、病院死亡は0%でした。原発性肺癌80例の手術時間は平均183.1分、出血量は平均98.9ml、術後ドレーン留置期間は平均3.0日、術後在院日数は平均14.3日でした。
診療体制と実績
3人のスタッフ(呼吸器外科専門医)のもとで、2012年は126例の手術を施行しました。
疾患別では原発性肺癌80例、転移性肺癌15例、縦隔腫瘍10例、嚢胞性疾患4例、感染性・炎症性疾患6例、その他12例(先天奇形、悪性胸膜中皮腫、良性腫瘍など)でした。
原発性肺癌は80例におよび過去5年間で最多の手術例数となりました(図1)。
80例中13例(16.3%)が80歳以上の高齢者で、高齢者の占める割合が年々増加傾向にあります。
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図1 原発性肺癌手術件数の推移 |
肺癌手術症例
1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | |
手術例数 | 113 | 117 | 115 | 111 | 106 | 131 | 114 | 123 | 97 | 140 | 133 |
原発性肺癌 | 58 | 51 | 56 | 52 | 53 | 59 | 61 | 39 | 44 | 75 | 62 |
転移性肺癌 | 15 | 13 | 21 | 15 | 14 | 15 | 16 | 15 | 10 | 16 | 20 |
●原発性肺癌
CTで偶然発見されるような2cm以下の末梢小型肺癌に対しては、呼吸機能を温存できる根治的縮小手術を積極的に施行し標準手術(肺葉切除)と同等の治療成績を得ています。局所進行肺癌に対しては、症例数は少ないものの、呼吸器内科、放射線治療科との連携のもと術前導入療法を積極的に行っています。さらに、2012年からは原発性肺癌手術に完全胸腔鏡下手術や開胸器を用いない小開胸併用胸腔鏡補助下手術を導入し、創の低侵襲化を試みています。術後補助化学療法が必要な症例に対しては抗癌剤感受性試験や遺伝子検査を行い、個別化治療を試みています。
●転移性肺癌
転移性肺癌においては、肺転移の制御が予後を左右することが多いといわれています。当科ではIVR科との連携のもと、手術とRFA(radiofrequency ablation)のHybrid治療により、多発転移巣を有する症例や再発を繰り返す症例に対する治療成績の向上を試みています。
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ⅠA | ⅠB | ⅡA | ⅡB | ⅢA | ⅢB | Ⅳ | |
三重大学 | 88.5 | 71.5 | 67.3 | 50.0 | 37.6 | 40.6 | 37.0 |
全国集計 | 83.9 | 66.3 | 61.0 | 47.4 | 32.8 | 29.6 | 23.1 |
臨床研究等の実績
当科における原発性肺癌手術症例の病理病期別5年生存率はⅠA期88.5%,ⅠB期71.5%,ⅡA期67.3%,ⅡB期50.0%,ⅢA期37.6%,ⅢB期40.6%,Ⅳ期37.0%です。
当科では末梢小型非小細胞肺癌に対して141名に縮小手術(区域切除術)を施行しています(1997.1~2011.12)。これは同時期の非小細胞肺癌手術症例の17.1%を占めています。141例中125例には根治的な縮小手術を施行しています。141例の全体の5年生存率は90%と良好な治療成績を得ています。
また、局所進行肺癌に対しては過去10年間に30名に術前化学療法/化学放射線療法を施行しています(2004.1~2013.5:化学療法14例,化学放射線療法16例)。結果、30例中29例に完全切除が可能でした。術後は30例中16例に補助化学療法を施行しています。これらの症例の全体の5年生存率は55.6%、Disease free survival(DFS)は40.1%と諸家の報告と比較しても良好な治療成績が得られています。
重症筋無力症に対する術前ステロイド導入療法は当科で拡大胸腺摘出術を施行した103例中の97例に施行しています(1994.1~2013.4)。手術死亡は1%(肺梗塞)、術後クリーゼ発症は2例と諸家の報告より良好な治療成績を得ています。術後は追跡可能であった症例の94.5%に症状の改善(寛解を含む)を認めています。
受付時間
初診 | 午前08時30分から午前12時00分 |
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再診(予約あり) | 午前08時00分から午後05時00分 |
再診(予約なし) | 午前08時00分から午前12時00分 |
休診日
土曜・日曜・祝祭日および年末年始(12月29日から1月3日)
※曜日によって休診する診療科があります。
また、担当医が休養で休む場合もありますので、必ずお問い合わせの上、ご来院ください。
お問合せ先:
【TEL】059-232-1111(内線5206)「診療案内係」または、「各診療科外来」へお問合せください。
時 間 外:
【TEL】059-232-1111(内線5233) 事務当直
初めて受診される方
受付方法
「診療登録申し込み書」(外来ホールに用意しています。)の赤枠部分を記入し保険証・紹介状等を添えて1番新患窓口へお出しください。
受付が終わりましたら、5番窓口から診察券・カルテ等をお渡しいたします。
再診〜2度目から受診される方
・予約の方
診察券を自動再来受付機に入れて受付をし、診察券と受付票を受け取り、診療科窓口へお出しください。
・予約のない方
1番再来受付窓口へ診察券を出して診療科名をお申し出ください。
※予約制の診療科および休診の診療科については、診察を受けられない場合があります。
保険証について
- 初めての方で、保険証をお持ちでない場合は、全額自己負担となりますので必ず保険証をお持ちください。
- 再診の方は、毎月初回の受診日に保険証の確認をさせていただきます。
- 保険証が変わったり、記載事項に変更があった時は、5番会計受付窓口へお申し出ください。
- 小児慢性疾患、特定疾患等の医療受給者証や、市町村の福祉医療費の受給資格証をお持ちの方は、保険証と同様に確認させていただきます。
診察券について
診察券は、全診療科共通して永久に使用できますので、大切に保管してください。
駐車場について
駐車場をご利用の方は、駐車場整理券を5番会計窓口にて磁気処理を受けてください。
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