*1血栓性素因には先天性のものと後天性のものがあります。先天性血栓性素因には、アンチトロンビン、プロテインC、プロテインS、プラスミノゲン、ヘパリンコファクターII異常症があり、遺伝子診断まで行うのがベターと考えます。後天性血栓性素因には抗リン脂質抗体症候群*2、脂質異常、未知の因子などがあります。
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*2抗リン脂質抗体症候群(APS)
リン脂質(主に抗β2GPI)に抗体ができることにより、血栓症や習慣流産を来たす病態で、APTTの延長や血小板減少を伴うことが多い。APTTなどの凝固時間が延長するものをループスアンチコアグラント(LA)陽性という。LA陽性例では、長期的には脳血栓症などのリスクが高く、動脈硬化の進展も早いため、抗血栓療法の適応が考えられています。
特にLAは高感度蛇毒凝固時間(DRVtest/ DRVconfirm)、抗β2GPI抗体、抗プロトロンビン抗体、抗リン脂質抗体、抗アネキシン抗体の5つを測定します。
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*3特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
自己免疫学的機序で血小板減少をきたす病態で、骨髄での巨核球の産生は正常化か増加しています。再生不良性貧血、骨髄異型性症候群(MDS)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)との鑑別が重要になります。(難病申請ができます。)
鑑別診断 |
骨髄 |
TPO |
網状血小板 |
血小板抗体 |
PAIgG |
ITP |
巨核球↑ |
正常 |
増加 |
増加 |
増加 |
再生不良性貧血 |
低形成 |
増加 |
正常 |
― |
― |
MDS |
過形成 |
増加 |
正常 |
― |
― |
TTP |
正常 |
増加 |
増加 |
― |
― |
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*4遺伝性出血性疾患
血友病A、血友病B、von Willebrand病の順に頻度が多く、頻度は少ないですがFI異常症、FV異常症、FVII異常症、FX異常症、FXII異常症、FXIII異常症などの患者さんも見え、約100名以上の方が受診されています。
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