ほぼほぼ予定調和とコンプライアンス
三重大学発生再生医学ブログ
成田正明
巷では、「ほぼほぼ」という言葉が普及しているらしい。
「ほぼ」が確実度90%なら、「ほぼほぼ」は95%とされる。
いずれも統計的に有意、という確実度だが、ほぼほぼのほうが一層あそびが少ない。確実度が高い。
なので「ほぼ」ではいい加減的感じを持たれかねないとき「ほぼほぼ」を使う。ま、100%ではないが確実だ、ということだ。。
このほぼほぼ、かなり市民権を得ているらしい。
使ってみたい。
さて、こういう立場にいる以上、守らないといけない法律や決まりはたくさんある。
研究不正や科研費の使い方、ハラスメントしないとか。守秘義務もある。
その枠内できっちりやっていかないといけない。
それがいわゆるコンプライアンスだ。
しばられているようだが、コンプライアンスで決められた枠内で粛々と仕事していれば、会議でも委員会でも研究でもなんでもスムーズに行き、結果の予想がつく。
それが経験であり年の功でもある。
これがいまはやりの「予定調和」だ。
しかし、とはいいつつも何でも前例にぴったり沿ってやっていってると、即ち予定調和すぎるとなにも進歩がない。
これをこう変えたらもっとよくなるのに、の発想が必要だ。
とくに私たちは研究者なので、予定調和ばかりでは画期的なことはできない。過去の実験の追試ばかりやってて、「やっぱりあのデータは正しい」では論文書けない。
いつかみんなをびっくりさせるデータを出したい、とか常に野心的に考えていないといけない。結果的にそれが仮に小さなデータになってしまったとしても、だ。
かといって(禅問答状態になるが)大きく道を踏み外すわけにはいかない。
学生指導のための研究課題で、いちかばちかの課題を与えてしまっては、ぽしゃった時取り返しがつかない。
調和された予定でやっていれば、たいていのものごとは定時に終わり帰宅時間も予想がつき、楽は楽だ。
コンプライアンスを遵守しつつ、予定調和の枠内に縛られず、「ほぼほぼ」程度のあそび(ハンドルのあそび程度の)が必要だ。