臨床・研究活動

臨床・研究グループ紹介三重大学大学院 脳神経外科学の研究グループをご紹介いたします。

脳腫瘍

脳腫瘍は大きく分けて脳実質内から発生する神経膠腫(一般にglioma)、実質外から発生する髄膜腫や神経鞘腫、肺や大腸などの癌が転移する転移性脳腫瘍に分けられます。
転移性脳腫瘍の治療は原疾患の治療がある程度コントロールされていることが前提となり、脳神経外科単独で治療を行うことは殆どありません。通常3㎝以上で腫瘍そのものによる圧迫が強く、余命がある程度残されている場合が治療対象となるため、手術を行う対象はかなり制限されます。さらに術後放射線治療も必要となります。近年ガンマ―ナイフ治療が転移性脳腫瘍に対して行われており、当院も三重県下にガンマ―ナイフセンターがあり、適宜相談して治療を行っております。
髄膜腫や神経鞘腫は良性腫瘍である事が多く、良性である事から成長速度が遅く、逆に発見された時にはかなりの大きさになっていることがあります。さらにしばしば脳ドックなどで発見されることも多いです。髄膜腫は円蓋部といって比較的発生母地も含めて、広範囲に摘出できることが多いが、時に摘出が困難な場所にできることがあります。神経鞘腫はすぐそばに顔面神経が走行しているため、神経損傷により顔面神経麻痺を来たすと、日常生活に大きな支障をきたすため、できるだけ神経麻痺を出さないように手術を行っています。そのため手術の際には、神経のモニタリングを行います。錐体路、脳幹反射、各々の神経のモニタリングを行うため、コードだらけになることもあります。
神経膠腫は浸潤性に成長する腫瘍で、根治手術が非常に困難な腫瘍です。特に膠芽腫と呼ばれるものは、WHO(世界保健機構)が定める分類で最も悪性の部類に入ります。現在一般的な治療方法は、可能な限り摘出し、後療法としてテモゾロミド(薬品名:テモダール)と言われる化学療法に加え放射線治療併用、その後はテモゾロミドによる維持療法を行います。摘出術の際には神経症状を出さない範囲でかつ可能な限りの摘出を目指すため、こちらも術中ナビゲーションシステムや脊髄刺激誘発電位など様々なモニタリングを使用します。現在、腫瘍の性状(再発の有無など)に対してMRIを用いた画像診断、さらに有用なモニタリングの開発、術後有用な治療の開発に取り組んでいます。
さらに三重大学病院は癌拠点病院であることから、小児脳腫瘍、脊髄腫瘍なども扱っています。化学治療や放射線治療が必要な場合には、小児科や放射線治療科、腫瘍内科などと密な連携を取りながら治療に取り組んでいます。
        *** 脳腫瘍治療成績を規定する因子に関する検討 ***     

このお知らせは当院脳神経外科もしくは伊勢赤十字病院脳神経外科で治療を受けられ脳腫瘍と診断もしくは治療された患者様とご家族に向けたものです。
今回私たちは2000年1月1日から2017年6月30日に脳腫瘍と診断され治療を受けられた患者さんを対象とし、その治療成績を検討します。

・研究の内容、方法について
2000年1月1日から2017年6月30日の間に脳腫瘍と診断され治療を受けた患者さんについて、その診療録(年齢・性別・画像・病状経過など)を元に治療成績を検討します。したがって参加することによる特別な負担はありません。  ご協力いただける場合は何も行動を起こしていただく必要はありません。参加を辞退された場合でも不利益を被ることはなく、後に参加を撤回することも可能です。患者さんのデータは匿名化し、個人情報保護法に沿って取り扱います。プライバシーが外部に漏れることもありません。研究結果は学会・研究会・学術論文などで発表しますが、その際に患者さんやそのご家族の方の氏名を公表することはありません。 本研究は三重大学大学院医学系研究科 医学部研究倫理審査委員会および伊勢赤十字病院の倫理委員会において厳正な審査を受け、研究科長の承認を得ております。経費は三重大学脳神経外科の委任経理金を用いて行います。また利益相反関係にある企業はありません。
・この臨床試験に関する研究組織 この臨床試験は三重大学医学部附属病院脳神経外科が主体となって行います。伊勢赤十字病院脳神経外科で治療を受けられた患者さんの記録(年齢・性別・画像・病状経過など)も当院に提供されます。
ご自身の診療録をこの研究に使用して欲しくないとお考えの方、ご質問がある方は下記事務局へご連絡をお願い申し上げます。
なお、論文として発表した後のお申し出の場合、ご希望に添えませんのでご了承をお願いします。

試験責任医師:三重大学医学部附属病院 脳神経外科 教授 鈴木秀謙
試験分担医師:三重大学医学部附属病院 脳神経外科 講師 松原年生
      助教 畑崎聖二 石垣共基
研究事務局:三重大学医学部附属病院 脳神経外科 
       〒514-8507 津市江戸橋2-174 
電話:059-232-1111(内線5611) FAX:059-231-5212
E-mail:neurosurgery@clin.medic.mie-u.ac.jp



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