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IFAA2019参加記・その1

2019年8月19日 江藤みちる

こんにちは、江藤です。

先日、ロンドンで開催された第19回国際解剖学会議(The 19th Congress of the International Federation of Associations of Anatomists, IFAA2019)に参加してきました。第一回めのIFAAが1903年。IFAAホームページ

解剖学というのは医学の中でも特に歴史の長い学問であり、日本解剖学会の総会を調べたら、なんとさらに10年もさかのぼり、1893年に第一回を開催していました。日本解剖学会ホームページ

日本解剖学会は1944, 1945の2年間を除いて毎年開催されるので今年3月開催の新潟での総会は第124回でした。IFAAは5年ごとのためか、特に初日、知り合いが再開を喜ぶ様子をよく見かけました。

学会のプログラムは、プレナリーレクチャー、シンポジウム、ワークショップ、一般発表(口頭、ポスター)で、内容は解剖学教育から研究まで多岐にわたるものでした。これは日本の学会と同じです。

日本と違うなと感じた点がいくつかあるので、紹介します。

(1)美術解剖学

解剖学と美術は切っても切り離せない関係にあります。

解剖学の学習に欠かせないアトラスは、いわば人体イラスト集。

レオナルド・ダ・ヴィンチは30体の解剖を行い、人体の構造を学んだそうです。レンブラント「テュルプ博士の解剖学講義」など、解剖を行っている場面の有名な絵画もあります。

日本には「日本美術解剖学会」も存在するからでしょうか? 日本解剖学会では美術解剖学の発表はほとんど見かけません。

しかし、私自身、ヒトやラットの解剖を通じていつも感じることは、「美しい」ということ。

あんなに複雑な組織や器官が時空間的にきっちりと構築され、しかも無駄がなく収まり、個体ごとにほとんど差はないということ。生命体そのものが芸術作品だなあと感じることはしばしばあります。

今回のIFAAでは、"Anatomical Art"として、解剖学者・芸術家・その学生たちによる絵画や写真の芸術作品が展示されていました。どれも素晴らしかったのですが、私が特に気に入ったものを2つご紹介します。

ひとつめ、腕神経叢およびその近傍の構造をカリグラフィーで表現したもの。多様な書体を使って、一つ一つの構造名が記されています。腕神経叢の絡み合いにはアートを感じます!

ふたつめ、女性の生殖器(卵巣、卵管、子宮)を花で表現したもの。とても素敵。

また、プレナリレクチャーでアイルランドのLee教授が"Art and Anatomy"と題して、紀元前に初めて人体解剖を行ったとされるヘロフィロスから、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、そして外科医の父ジョン・ハンターの兄である解剖学者のウィリアム・ハンターの解剖を描いたThomas Rowlandsonの作品"The dissection room"

など、お話とともにさまざまな作品を紹介してくださいました。

バチカンのシスティーナ礼拝堂のミケランジェロの絵には、脳の形が隠されているのだそうですよ。

行かれる機会があったら、ぜひ、見つけてみてください。

・・・IFAA2019参加記・その2につづく・・・

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