高校の授業と違い、大学では、レポートの提出が求められることが多い。医学部など自然科学系の学部では、実験・実習がある場合は、その評価・成績は、通常、その内容・結果について書いたレポートを通じて行われる。主旨が曖昧であったり、何をいっているのか分からないレポートでは問題であるし、第一、そのようなレポートを通じて評価を受けることは、書いた大学生本人にとって不利益この上ない。
もちろん、卒業後においても、論文・学会発表など、科学者としての研究成果の発表はもちろん、臨床医療においても、症例検討会での報告・発表、手術サマリ、退院総括、紹介状など、毎日のように報告書類を書き、発表または連絡に用いなければならない。それら報告書類を通じて、収集した情報・判断・行動した結果から、考察を展開し、それを表現して伝達し、相手を理解させるまた説得するという過程が要求される。そこには、まさに科学人としての思考・行動過程である。
したがって、医学を学ぶ大学生は、科学的論理性のあるレポートを書く能力およびその涵養が求められる。
しかし、高校までの作文教育は、文学として芸術的な文章を書くことを目標としているのかもしれない。そこで、ここでは、大学に入学したばかりの医学生を念頭にいれて、レポートとはどんなものか、大学生に求められる、科学的論理性のあるレポートの書き方、その最小限のことをまとめてみようと考えている。