まとまりのない手紙をもらったり、口下手な人の話を聞くのも、それぞれ、人間味の感じられる、心温まるエピソードといえる。手紙や作文などでは、思いつくままに書く方が人柄が伝わるなど、かえって効果的な手法ともいえ、そういう意味では、科学的論理性のある文章や話というのは、無味乾燥なものである。
レポート・論文を書くと言うことは、大学生自身にとってどんな意味があるのか。実は、単に成績のため、単位をとるためではない、もっと深い・有意義な目的がある。
実習・実験の結果や文献検討から、自分独自の考察、主張、ストーリーをより良く、読む側に伝えることは、結果を受けて、考察を明確に示していく演繹過程を学ぶことができ、これは、科学を実践する姿勢として大学生の行動規範として求められることであり、それを学ぶ有力な方法である。「書くことを通じて考える」ということである。また、自己実現技術、コミュニケーション能力の涵養につながる。
これまでの入試問題のように正解があるという性質のものではなく、レポートに正解はないが、単なる感想文ではなく、自分の主張を読者に説得して、納得してもらうために書くのであり、事実とそれに基づく考察の文章である。自ずから科学的論理性が必要となる。