研究室紹介Our research

分子病態学では、細胞間・臓器間コミュニケーションを制御する分子メカニズムを細胞接着分子インテグリンに注目し研究しています。

よくグリップする細胞の“タイヤ”タンパク質「インテグリン」から、体の感染防御メカニズムがわかる
(内閣府/総合科学技術・イノベーション会議のエビデンス事業「こんな研究をして世界を変えよう」)

炎症と白血球の接着・遊走 (Research topic 1)

接着分子インテグリンによるダイナミックな細胞接着は、リンパ球など免疫細胞の臓器特異的ホーミングや、白血病細胞が臓器に浸潤するプロセスを制御しています。
インテグリンの接着性は通常は低く抑えられていますが、炎症性疾患・免疫病や癌化にともない過剰に上昇します。
この病態に関与するインテグリン接着性バランスを制御する機序や、血管内皮細胞の統合性維持に不可欠なインテグリンとコネキシンやトロンボモジュリンとのクロストークなど、血管生物学的システム・ロバストネスが構築される実態を研究します。
生体内で細胞の接着と移動を制御し、細胞間でのコミュニケーションを司る接着分子システムの機能を深く理解することにより、免疫病や癌転移における細胞動態を明らかにし、臨床現場にその知見を還元する“Bench to Bedside and Back”をモットーに研究をしています。

Research topic 1

関連論文 :
  1. Park EJ, Myint PK, Ito A, Appiah MG, Darkwah S, Kawamoto E, Shimaoka M. Integrin-Ligand Interactions in Inflammation, Cancer, and Metabolic Disease: Insights into the Multifaceted Roles of an Emerging Ligand Irisin. Front Cell Dev Biol 2020 Oct 26;8:588066
  2. Park EJ, Yuki Y, Kiyono H, Shimaoka M. Structural basis of blocking integrin activation and deactivation for anti-inflammation. J Biomed Sci. 2015 Jul 8;22:51.
  3. Soe ZY, Park EJ, Shimaoka M. Integrin Regulation in Immunological and Cancerous Cells and Exosomes. Int J Mol Sci 2021. 22(4): 2198.
  4. Akama Y, Park EJ, Satoh-Takayama N, Gaowa A, Ito A, Kawamoto W, Darkwah S, Appiah MG, Myint PK, Ohno H, Imai H, Shimaoka M. Sepsis induces deregulation of IL-13 production and PD-1 expression in lung group 2 innate lymphoid cells. Shock 2021 Mar 1;55(3):357-370
  5. Kawamoto E, Okamoto T, Takagi Y, Honda G, Suzuki K, Imai H, Shimaoka M. LFA-1 and Mac-1 integrins bind to the serine/threonine-rich domain of thrombomodulin. Biochem Biophys Res Commun. 2016 473(4):1005-12

インテグリンによるエキソソームの機能制御 (Research topic 2)

細胞外小胞は細胞から放出される脂質2重膜からなるBiological nanoparticleであり、自己複製能を欠くという点で、ウィルス粒子とは一線を画します。
細胞外小胞の中でもサイズが〜100nmのエキソソーム(exosome)は、エンドゾーム経路によりつくられ細胞外に分泌され、細胞間コミュニケーションを担っています。
インテグリンは細胞表面に発言するのと同様に、エキソソーム表面にも発現し、生体内での臓器分布決定に重要な役割を果たしています。
リンパ球の分泌するエキソソームは、先回りしてホーミングニッチにある血管内皮細胞に到達し、インテグリン・リガンドやケモカインの発現を変化させることにより、免疫細胞の生体内でのトラフィッキングパターンや臓器間ネットワークの制御に関わっています。

Research topic 2

関連論文 :
  1. Shimaoka M, Kawamoto E, Gaowa A, Okamoto T, Park EJ. Connexins and Integrins in Exosomes. Cancers 2019 Jan 17;11(1)
  2. Park EJ, Prajuabjinda O, Soe ZY, Darkwah S, Appiah MG, Kawamoto E, Momose F, Shiku H, Shimaoka M. Exosomal regulation of lymphocyte homing to the gut. Blood Adv. 2019 Jan 8;3(1):3656-3666.
  3. Soe ZY, Prajuabjinda O, Myint PK, Gaowa A, Kawamoto E, Park EJ, Shimaoka M. Talin-2 regulates integrin functions in exosomes. Biochem Biophys Res Commun. 2019 Mar 14. pii: S0006-291X(19)30404-8. doi: 10.1016/j.bbrc.2019.03.027.
  4. Park EJ*, Myint PK*, Appiah MG, Worawattananutai P, Inprasit J, Prajuabjinda O, Soe ZY, Gaowa A, Kawamoto E, Shimaoka M. Ligand-competent fractalkine receptor is expressed on exosomes. Biochem Biophys Rep 2021 Feb 2;26:100932.
  5. Appiah MG, Park EJ, Darkwah S, Kawamoto E, Akama Y, Gaowa A, Kalsan M, Ahmad S, Shimaoka M. Intestinal epithelium-derived luminally released extracellular vesicles in sepsis exhibit the ability to suppress TNF-alpha and IL-17A expression in mucosal inflammation Int J Mol Sci 2020. Nov 10;21(22):8445

コミュニケーションとヒューマン・ビヘイビアー (Research topic 3)

細胞間のコミュニケーションをよりマクロでメタな視点まで、ズームアウトして捉える研究も行っています。
人と人とのコミュニケーションを客観的かつ網羅的に把握し、定量的に解析するために、名刺型ウェアラブルセンサー(Sociometric badge)腕時計型ウェアラブルセンサーを用いて、医療関係者の多職種連携のパターンや睡眠のパターンが、病院環境因子や患者因子がどのように関係し、病院エコシステムを構築しているのかを研究します。

Research topic 3

関連論文 :
  1. Ito-Masui A, Kawamoto E, Nagai Y, Takagi Y, Ito M, Mizutani N, Yano K, Yano K, Imai H, Shimaoka M. Feasibility of Measuring Face-to-Face Interactions Among ICU Healthcare Professionals Using Wearable Sociometric Badges. Am J Respir Crit Care Med. 2020 Jan 15;201(2):245-247
  2. Kawamoto E, Ito-Masui A, Esumi R, Imai H, Shimaoka M. How ICU Patient Severity Affects Communicative Interactions Between Healthcare Professionals: A Study Utilizing Wearable Sociometric Badges. Front Med (Lausanne). 2020 Dec 3;7:606987. doi: 10.3389/fmed.2020.606987. eCollection 2020.
  3. Kawamoto E, Ito-Masui A, Esumi R, Ito M, Mizutani N, Hayashi T, Imai H, Shimaoka M. Social network analysis of ICU healthcare professionals measured by wearable sociometric badges. J Med Internet Res 2020 Dec 31;22(12):e23184.
  4. Ito-Masui A, Kawamoto E, Sakamoto R, Sano A, Motomura E, Tanii H, Sakano S, Esumi R, Imai H, Shimaoka M. Internet-based Individualized Cognitive Behavioral Therapy for Shift Work Sleep Disorder (Empowered by Wellbeing Prediction): A Pilot Study Protocol. JMIR Res Protoc. Online ahead of print

これまでのインテグリン研究

インテグリン活性化制御メカニズム

白血球や白血病細胞は接着分子インテグリンを使い、血管内皮に接着し、臓器に深く浸潤します。私たちは細胞接着能と浸潤能の基盤となるインテグリン親和性制御の機序 (Nat Struct Biol 2000; Annu Rev 2002; Cell 2003)や細胞間のコミュニケーションを担う接着分子コネキシンの血管内皮における新規機能(Exp Cell Res 2011; Exp Cell Res 2014)を解明してきました。

インテグリンの活性化を制御するシグナル伝達経路とグローバルなコンフォメーション変化

 

インテグリン活性化制御メカニズムを標的とした抗炎症戦略

インテグリンを活性化するコンフォメーション・シグナル伝達の”要(かなめ)”となる部位を同定し(Immunity 2003; Cell 2003; PNAS 2001)、この”要”を標的としてシグナルを阻害するさまざまな戦略 (Nat Rev Drug Discover 2003)や、インテグリンの内在化を利用した免疫細胞や白血病細胞へのsiRNAデリバリー新規技術 (PNAS 2007; Science 2008)を開発してきました。また凝固系と炎症が血管内上でクロストークすることを提唱してきました(Crit Care Res Pract 2012; BBRC 2016)。

インテグリン活性化制御を標的とした抗炎症戦略

 

インテグリン活性化制御とリンパ球ホーミング

接着分子インテグリンは標的臓器へのリンパ球ホーミング、さらには標的臓器内でのリンパ球活性化という免疫病の病態生理において重要な2つのステージで、細胞接着を制御している。インテグリンの親和性は正常細胞では低く維持されるが、癌化にともない異常に亢進する。私たちは新規インテグリン・ノックインマウス(J Clin Invest 2007; Blood 2008; Blood 2010)より得られた知見から、インテグリン親和性バランス制御の”乱れ”(Aberrant Regulation)が慢性炎症や癌浸潤の病態に関与している可能性を提唱してきました (JCI 2007. Editorial)。 このインテグリン親和性制御の”乱れ”が免疫病の病態生理に与えるインパクトの分子基盤を研究しています。

インテグリン活性化と脱活性化のバランスがリンパ球ホーミングの効率を決定する

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