腫瘍病理学講座 教授
渡邉 昌俊

病理学は、疾患の原因、発生機序を主として形態的に明らかにし、また診断を行う医学です。顕微鏡の発展とともにルドルフ・ウイルヒョウにより細胞病理学が確立され、基礎医学の主たる分野となりました。その後のゲノムを含む分子生物学の発展により、病理学は大いに進歩しました。一方、他の基礎医学とは異なり、病理診断や病理解剖などにより、臨床医学と密接な関係を築いてきました。近年の医学・医療の進歩は目覚ましく、病理学は埋没しがちな印象がありました。しかしながら、がんゲノム医療での病理医の重要性がクローズアップされ、一方で人工知能による病理診断の可能性など話題に事欠かない状況です。このような状況で、講座や県下の関連病院の先生方と一緒に、病理を含めた専門医の育成、ゲノム医療、日進月歩の疾患概念の変化に対応した診断の質の向上などの問題を解決していきたいと考えます。